新築分譲マンションの価格高騰が止まらないなか、許容範囲を超えてマンション購入に踏み切る人たちが増えています。家族総出で実現するマイホームですが、そこには大きなリスクが潜んでいます。みていきましょう。
頭金2,000万円を出して、妻がパートで働いても…平均的な「手取り33万円・40代大卒男性」では東京23区内のマンション購入は無理

会社員の夫+パート・アルバイトの妻…「頑張って23区でマンション購入」の末路

とはいえ、勤務先や子どもの通学の関係で、やはり東京23区にこだわりたいとして、なんとか頭金を用意して、新築マンションを購入したとしましょう。

 

返済負担率上限35%だと、40代前半で残り14万円ほど。そこで万が一のために貯蓄をして、残りで生活をするとなると、決して生活は楽ではなく「配偶者も外に働きに出て家計の足しにする」というのが一般的でしょうか。

 

厚生労働省『第11回21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)』によると、小学5年生の子どもをもつ世帯の母親の就業状況は、8割が有職で、常勤が29.1%、パート・アルバイトが43.3%。多くの人が103万円を上限に働きに出ているようです。

 

「一般的な大卒サラリーマンと、年収103万円のパート・アルバイト妻」という組み合わせで、月19.7万円の住宅ローンの返済を考えていきましょう。

 

返済負担率は、40代前半で30%まで下げることができ、40代後半で28%、50代では25%となります。ただ多くが定年を向かえる60代になると、会社員の給与も3割ほど減るので、再び負担率は35%、60代後半では上限超えの40%となります。かなり難しい家計運営となるでしょう。

 

また、常に「万が一」ということを考えておくのも重要です。2021年、男性の失業者は117万人。そのうち非自発的な離職者は35万人、さらに会社都合による離職は22万人。そのうち35〜44歳が4万人、45〜54歳が6万人でした。

 

会社都合というのは、「倒産や事業縮小によるもの」「給与遅配や期日までに給与の1/3以上が支払われないため退職」「給与が85%未満に低下したことによる退職」などが含まれます。

 

住宅ローンを抱えているにも関わらず、どうしようもなく、職を失う……そのような人もいることでしょう。会社都合であれば失業手当の対象となりますが、家計は一気に苦しくなることは明白。また給与水準が同等以上の再就職先が見つからなければ、家計破綻が現実のこととなります。

 

最悪の事態を想定していては、とても家なんて買えませんが、そんな最悪の場合はどうなるかは、住宅ローンを活用する以上、知っておくべきこと。そのリスクに対して、できる限りの対策を講じておくことが重要です。