新築マンション価格は上がり続け、東京23区では平均9,000万円弱。金持ちじゃないと買えないという水準ですが、意外と購入して売るのは会社員世帯で、ただ世間的には「お金持ち」の部類に入る人たち。ただ「頑張ってマンション購入」というケースも多く、この場合、少々先行きに不安を覚えます。みていきましょう。
年収1,500万円の金持ち夫婦…「無茶すぎた毎月の返済額」にローン破綻の危機

年収夫婦で1,500万円…億ションを買った場合の月の返済額

たとえば世帯年収1,500万円の共働き夫婦が、1億円のマンションを検討するとしましょう。

 

「お客様でしたら、返済能力もありますので、フルローンでいけますよ」

 

そんな口車にのって、以下の条件で融資を受けたとします。

 

■借入金額:1億円

■返済方式:元利均等

■金利:当初5年0.6%、以降1.0%

■返済期間:30年

 

利息は1,381万7,889円で、支払総額は1億1,381万7,889円。月々の返済は当初5年は30万3,596円、5年以降は31万8,674円になります。

 

世帯年収1,500万円であれば、賞与なども考慮して、月々手取りは60万円程度。つまりローンを払い、残った30万円で生活していけばいいということになります。返済負担率は世帯年収に対して25%程度ですから、許容範囲といえます。

 

ただこの返済プランが適正かどうかといえば、少々無理をしているといえるでしょう。

 

給与減に耐えられるか

先行き不透明な経済状況のなか、いつ給与減の事態に陥るか分かりません。また夫婦ともに高所得という絶妙な組み合わせによって成立している高額の借入。もし夫、もしくは妻が働けなくなったら……考えるとゾッとします。

 

仮に夫婦の給与が同水準だと仮定し、片方の収入が途絶えたとすると、手取りは60万円から35万円程度にダウンします。30万円のローンを返済し、残り5万円……これで家族全員は暮らしていけないでしょう。

 

ライフステージの変化による給与減に耐えられるか

また共に定年まで働き続けることができたとしましょう。現在、多くの企業が60歳定年を採用し、再契約のもと、65~70歳まで働き続けられる環境が整っています。

 

しかし定年のタイミングで、給与は平均3割減。仮に定年前、手取り60万円だとしたら、42万円程度になるということ。さらに年金だけの暮らしになったとしたら、月々のローン返済が夫婦の年金額を超えてしまいます。

 

今回の例だと、年金生活突入前に完済は絶対条件です。

 

離婚はないといえるか

ペアローンであれば、完済までずっと夫婦、というのが基本。もしローン返済中に離婚という事態になったとしたら……売却して財産分与、というパターンであればスムーズですが、たとえば妻+子どもが住み続けたいという場合は厄介です。夫は別に家を借りながらローンは払い続けるというのが一般的ですが、離婚後、ひとり暮らしで住んでいないローンを払い続ける姿は涙ものです。

 

 

もちろんすべてうまくいき、予定通りに完済。憧れの億ションで優雅な年金生活……そんな未来を迎える夫婦もいるでしょう。ただ金持ち夫婦だからといって億ションを購入するのは、大きなリスクを伴うことは明らかです。