株価にはすでに「見通し」が織り込まれている
「短期投資と長期投資を区別しない」という考え方があります。
これは、「産業別」に株価をみていくとわかりやすいでしょう。成長が期待される産業は現在の状況に加え将来への期待が織り込まれ、株価は一般的水準より割高になっている傾向がみられます。逆に、成熟しきって今後の成長が望めない産業や、衰退が予想される産業の株価は、一般的水準より割安になっている傾向です。
このように、株価というのは将来のことも見据えて形成されていますので、「短期投資のために買う」「長期投資のために買う」といった区別はあまり意味がない、という考え方もあるのです。このような投資をする人は、「将来のことも含めて、いまの株価が高いか・安いか」だけを判断しているといえます。
短期でシナリオが変化すると「短期投資」になる
では、そんな考え方に基づいて株を買った場合、いつ株を売ればいいのでしょうか。そしてその投資は、短期・投資どちらに分類されるのでしょうか。
それを決めるのは、まず「市場」です。
市場は先述のように将来の見通しを織り込んで株価を形成していますが、当然間違っていたり修正されたりすることもあります。人気投票のようなものですから、その会社の実力にフィットしない株価であることもあります。
そして、「将来のことも含めて、今の株価が高いか・安いか」だけを判断して株を買っても、市場がその株を過剰評価する時期が来た場合は、売るのも選択肢の1つです。この際、株を保有している期間が短ければその投資は「短期投資」となりますし、長ければその投資は「長期投資」となるわけです。
また、市場ではなく、投資をした投資家本人がその会社への評価を改めたときも、「売るタイミング」です。
「将来的に成長が続くと思ったけど考えが変わった。そうでもなさそうなので、いまの株価は高すぎる」などと判断して売るのが、このケースです。その際も、株の保有期間が短かければ「短期投資」となり、長ければ「長期投資」となります。
つまり、将来の見通しを含めて株を買っても、株価または自分の判断といった「シナリオ」が短期間に変わってしまった場合は、売ることが適切となり、結果として短期投資になります。