(※写真はイメージです/PIXTA)

サッカー通りみなみデンタルオフィス院長・橋村威慶医師は、コロナ禍であっても、歯科医院へ定期的に通うことをオススメしています。なぜなら受診して感染するよりも、歯科治療を受けないでウイルス感染やその他の病気を発症するほうが確率としては高く、またQOL(生活の質)の低下にも繋がりかねないからです。とはいえ、数ある歯科医院の中から受診先を決めるのは容易ではありません。そこで今回は、特に「患者さんの年齢」に着目し、医院選びのコツを伺いました。歯科医の目線から見た「良い歯科医院」とは?

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まず「自宅や勤務先に近いこと」が大事

一般的に歯科治療の9割以上が虫歯、歯周病、義歯、予防的メンテナンスとなります。緊急性、特殊性がなければ、これらの治療は皆さんのご自宅や勤務先の近くの歯科医院でほぼ治療が可能です。たとえば、歯石を取りたい、詰め物が取れた、義歯がちょっと当たる、などは日常的によくあることです。それならばできるだけ近くですぐ診てもらえるところが一番です。自宅の近くや生活の中心となっている場、いわゆるホームドクター、かかりつけ医というものですね。

「紹介先医療機関が複数ある歯科医院」はオススメ

とはいいつつ、足を伸ばしても行かなければいけないケースもあります。かかりつけ医から他院や専門の病院に紹介状を出された場合、必ず行かなければなりません。なぜなら、かかりつけの歯科医院では対応できないためです。今後病状が重篤になる、すでに発症していて専門外来に紹介する必要がある、など、たとえ紹介先が遠く、また予約が取りにくくても行くようにしましょう。

 

そしてこの紹介先がポイントとなります。紹介先を歯科医師の出身校や地域の提携している基幹病院にするのはどこの歯科医院でも可能です。それ以外の複数の紹介先を持ち患者さんに提示できるのは良い歯科医院だと言えます。歯科医師は当然、紹介先がどういうところかを知っています。その紹介先が多くあればその分、患者さんに適した医療機関を提示できるからです。

ホームドクターは何歳から意識する?世代別の選び方

歯科医師の技術と経験、体力等を考えると一番脂が乗り切っているのは一般的に50代〜50代半ばだと言われます。歯科開業医の平均年齢は厚労省の2018年の調査では53.5歳となっており、ちょうど実力のある世代が中心となっています。また歯科医師は世代によって技術や取り扱う機器、材料が変わり、また体力、集中力も年相応に変化します。そこで患者さんは、歯科医師と自分の年齢を対比して考えていかなければなりません。

 

■幼少期は「近所にある評判のいい歯医者さん」が筆頭候補

幼少期の場合、技術・体力ともに“今が最高潮”の歯科医師を選ぶのが良いでしょう。ちょうど開業医の平均年齢ぐらいですね。なぜなら歯科医師の患者さんとの年齢はかけ離れているため、ホームドクターとして意識する必要はなく、患者さん側もずっとその近所に住み続けるとは限りません。近所にある評判のいい歯医者さんが第一候補です。

 

■忙しい20代〜50代は「利便性」が第一

中年期、およそ20代〜50代の場合は利便性を第一として歯科医院を選びましょう。この世代の人は仕事、家庭と忙しく時間がない取れない方が多くいます。一般的に言って、この世代の治療内容はさほど難しくない場合が多く、歯科医師に多少の技術差があっても治療結果に差が変わらないケースが多いからです。ベテランでも新人でも同様な結果が出せる治療内容ならば、とにかく利便性の良い歯科医院を選びましょう。

 

■高齢期は慎重に!40代以下の歯科医師をホームドクターにすることを推奨

高齢期の場合はかかりつけ医の年齢が重要になります。60代は歯科医院の通院回数が一番多く(厚労省調べ)、60代後半でピークを迎えます。また歯科医師のリタイア年齢は平均67.5歳、患者の通院が半減するのが80代半ばとなっています。

 

患者さんの年齢が60歳のとき、50代のピークを迎えている歯科医師をかかりつけ医にすると、患者さんが70代のときに長年診ていたかかりつけ医がリタイアする可能性が高くなります。高齢者の場合、現状の口腔内の所見だけで判断するのではなく、生活習慣や治療法など患者さんが歯科医師に求めるものなどが多彩となります。そして何より歯科医師との相性が重要になります。新しいかかりつけ医との相互理解、信頼関係を作るのは容易ではなく時間もかかります。以上を考慮すると、60歳以上の方は、40代以下の歯科医師をホームドクターにすると良いでしょう。

「大学付属病院」はどんな患者さんに向いている?

高度先進医療を担う大学病院はすべての歯科治療を担っています。大学病院を患者さんが選ぶ理由の一つに、「どんな治療でもある一定レベルの治療が受けられる」というものがあると思います。いわゆる質の担保です。確かに質の担保は保証されますが、デメリットもあります。その一つは利便性です。歯科大は全国に29大学しかありません。通院が距離的に難しい場合があり、また緊急性のない症状は基本的に予約制となっているのですぐ診てもらえるわけではありません。痛くないけど小さな詰め物が取れた、歯石を取ってほしいなどの内容は大学病院には向いていません。

 

また、大学病院は基本的に担当医制となります。患者さんの気持ちとしては担当医と相性が良く、信頼関係があればずっと同じ担当医に診てもらいたいものです。しかしながら大学病院の勤務医の平均年齢は36.4歳(厚労省調べ)であり、担当医が大学病院に定年までいる割合は4.7%です。ほとんどの場合、担当医は他の医師と交代するといっても良いでしょう。とはいっても質の担保はある一定レベルで保証されますから、利便性、担当医の交代が支障とならない患者さんならば大学病院も一つの選択肢としても良いでしょう。

 

以上、歯科医師目線で捉えた歯科医院の選び方でした。読者の皆さん、ぜひ参考になさってください。

 

 

橋村 威慶

サッカー通りみなみデンタルオフィス 院長

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。