3回目の新型コロナウイルスのワクチン接種が2021年12月から始まりましたが、いま「若年の接種率の低さ」が懸念されています。本記事では、2022年3月にニッセイ基礎研究所が実施した「第8回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の結果を用いて、村松容子氏が3回目のワクチン接種状況および今後の意向、接種を希望しない理由について年代別にみていきます。
3月末での3回目のワクチン接種意向…接種意向は49歳以下と50歳以上で隔たり。副反応の不安・交互接種の不安は依然として高い (写真はイメージです/PIXTA)

若年の3回目接種はこれから本格化。若年だけでなく、よりリスクが高い中高年への推奨も引き続き重要

結果のまとめ

 

以上のとおり、2022年3月に実施した調査によると、「2回目まで接種を完了している」または「1回目の接種(または接種予約)は終えている」の48.8%が「3回目の接種を終えている」と回答していた。3回目のワクチンは、2回目のワクチン接種から6ヵ月以上経過してから打つため、3回目のワクチン接種も高年齢ほど進んでいた。

 

そこで、「3回目の接種を終えている」に加えて、「3回目の接種日は決まっており、接種日を待っている」「まだ接種日は決まっていないが、すぐにでも接種したい」を合わせたところ、全体の76.9%が3回目の接種に前向きだと考えられた。

 

接種に前向きな人の割合を年代別にみると、50歳以上では、8割を超えて高いのに対し、49歳以下では7割に満たないことから、49歳以下と50歳以上で、接種意向に隔たりがありそうだ。すぐには接種を希望しない理由として、国内での接種が進んでいないことなどを理由として、様子を見ている人は、12月に実施した調査と比較すると減少しており、順次接種が進んでいた。

 

しかし、副反応に関連する不安をあげる人は半数弱、ブースター・交互接種に関連する不安をあげる人は3割強と、12月に引き続き高かった。20~30代ですぐには接種を希望していない人には、「注射が苦手だから」「接種することが面倒だから」の割合が他年代よりも高かった。

 

また、20代では「まだ家族や友人など身近な人がブースター接種をして問題がないことが確認できていないから」も高かった。すぐには接種を希望しない理由としてもっとも高かった「副反応が心配だから」は40代で特に高かった。

 

一方、60歳以上で、すぐには接種を希望していない人には、「ブースター接種による副反応などの情報が少ないから」「ブースター接種による効果が明確ではないから」などブースター接種へ不安を感じている人と、「基本的な感染防止対策で十分」など3回目は不要と考えている人が多かった。

 

今後の3回目のワクチン接種に向けた示唆

 

3回目のワクチンについては、若年の接種率の低さが課題とされている。

 

しかし、2021年9月末の時点で、65歳以上は85%程度以上が2回目の接種を終えていたのに対し、20代は1回目を47%が、2回目を30%が、30代は1回目を52%が、2回目を32%が終えた段階だったことから、本調査が行われた2022年3月末に3回目の接種対象となっていたのは、20~30代では3割程度だったと思われる。

※ 日本経済新聞(2021年9月24日)「20代の1回目接種率47% 河野氏、年代別を初公表」による。接種率は9月22日時点のもの。

 

現在、2回目接種は20代、30代いずれも80%程度であることから、若年者の3回目のワクチンは今後進んでいくと考えられる。

※ 首相官邸「新型コロナワクチンについて」(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html、2022年4月11日アクセス)「年齢階級別の実績(4月11日公表時点)」

 

ただし、20代は「注射が苦手だから」「接種することが面倒だから」が他年代より高いことから、若年者の接種には特に接種しやすさに配慮することが必要となりそうだ。また、「まだ家族や友人など身近な人がブースター接種をして問題がないことが確認できていないから」で高く、身近な人の接種が若年者の接種の後押しになる可能性があった。

 

今回の調査では、20~30代の若年者だけでなく、40代も20~30代と同様に、50歳以上と比べると、接種意向が低い傾向があった。40代では、特に、副反応への不安が高かった。

 

子ども世代にワクチン接種を推進するためには、その親世代である40代のワクチンへの理解が欠かせないことから、40代の接種意向について引き続き注視する必要がある。

 

一方で、より感染時に重症化リスクが高いとされる60歳以上で“3回目不要”“ワクチンの種類を選びたい”が高いことから、ワクチン接種率を上げるためには、若年への対策だけでなく、高年齢者に向けてワクチンの重要性等を引き続き周知する必要があるだろう。

 

 

村松 容子

ニッセイ基礎研究所