本記事では、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏が、当せん金などの仕組みが、昨年から大きくシンプル化されたサマージャンボ宝くじについて、変更点を見ながら、今年はどう狙うべきか、考察していきます。
サマージャンボ2022はシンプル化-狙いが明確な2つのくじをどう組み合わせるか? (写真はイメージです/PIXTA)

サマージャンボは、シンプルに7億円狙い

新型コロナは、第6波が過ぎて改善傾向が続いてきた。経済活動の再開も進み、朝の通勤・通学はコロナ以前の姿に戻りつつある。ただ、6月下旬に入って、全国の新規感染者数は前週同曜日比で増加に転じており、今後の感染拡大の動向は、なお予断を許さない状況となっている。



そんな中、今年も、サマージャンボ宝くじの発売時期がやってきた。最高当せん金は、1等・前後賞合わせて7億円と、年末ジャンボに次ぐ高額だ。今回の宝くじでは、当せん金などの仕組みが、昨年から大きくシンプル化されている。変更点を見ながら、今年はどう狙うべきか、少し考えてみよう。

 

サマージャンボ宝くじには、他のジャンボ宝くじと同様、「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。今回、「1等・前後賞合わせて7億円」のうたい文句で発売されるのは、サマージャンボだ。一方、サマージャンボミニの当せん金は、1等3000万円が最高額となっている。

 

それでは、サマージャンボは、昨年からどのように変更になったのか。主な変更点は、つぎの4つだ。

 

(サマージャンボの主な変更点)

(1) 2等1000万円(当せん本数1ユニット(1000万枚)あたり2本)がなくなった

(2)3等100万円(当せん本数1ユニットあたり10本)がなくなった

(3)これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は111万214本から111万202本に減少

(4)1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、144.49円から141.49円に減少

 

つまり、(1)と(2)で当せん金1,000万円と100万円がなくなった。その他の当せん金や当せん本数は変更されていない。

 

これは、1000万円や100万円の中間的な高額当せん金をやめて、高額当せんとして、1等・前後賞合わせて7億円をシンプルに狙う形に変更したものといえる。

 

とにかく、単純明快に7億円の高額当せんを狙う。サマージャンボは、「高額当せんのドキドキ感を楽しむためのくじ」といえるだろう。

 

 ミニは、究極のシンプル化 ― 当せん金1万円以上の本数が2.3倍に増加

いっぽう、サマージャンボミニはどうか。ミニには、究極のシンプル化が図られている。

主な変更点は、5つにまとめられる。

 

(サマージャンボミニの主な変更点)

(1) 当せん金1000万円の1等の前後賞(当せん本数は1ユニット(1000万枚)あたり8本)がなくなった

(2) 2等5万円と4等3000円(当せん本数は、それぞれ1ユニットあたり3000本、10万本)がなくなった

(3) 3等1万円が2等となり、当せん本数は、1ユニットあたり4万本から10万本に増加

(4) これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は114万3012本から110万4本に減少

(5) 1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、135円から142円に増加

 

つまり、(1)と(2)で従来の当せん金1000万円や5万円、3000円の当せんをなくなった。一方、(3)で当せん金1万円の当せん本数を大幅に増やしている。

 

これにより、1万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニット(1000万枚)あたり、昨年の4万3012本から、今年は10万4本へと2.3倍に増加している。

 

これは平均的にいうと、1枚300円のくじを100枚買ったら、その中に1万円以上の当たりが1枚含まれていることを意味する。ただし、そのためには、3万円が必要となり、平均的には持ち出しとなるので注意が必要だ。

 

サマージャンボミニは、当せん金1000万円の1等の前後賞や、5万円、3000円といった当せん金をなくして、1万円の当せん金に集中したものに変貌している。削(そ)ぎ落せるものは削ぎ落して、1等3000万円、2等1万円、3等300円の3つに集約するという、究極のシンプル化を実現した仕組みとなった。

 

それでいて、(5)で1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、135円から142円に増加している。この平均受取額は、サマージャンボを少し上回る金額に設定されている。

 

サマージャンボミニには、サマージャンボのような億円単位の高額の当せん金はない。しかし、平均的にはサマージャンボよりも受け取りが少しだけ多い。これは、2つのくじの間で、当せん金の受取額についてのバランスが確保された、とみることができるだろう。

 

このように、サマージャンボミニは、当せん金3000万円の1等を狙いつつも、1万円の当せんに軸足を置いた、「高確率当せんのワクワク感を味わうためのくじ」と位置づけられる。