3回目の新型コロナウイルスのワクチン接種が2021年12月から始まりましたが、いま「若年の接種率の低さ」が懸念されています。本記事では、2022年3月にニッセイ基礎研究所が実施した「第8回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の結果を用いて、村松容子氏が3回目のワクチン接種状況および今後の意向、接種を希望しない理由について年代別にみていきます。
3月末での3回目のワクチン接種意向…接種意向は49歳以下と50歳以上で隔たり。副反応の不安・交互接種の不安は依然として高い (写真はイメージです/PIXTA)

3回目のワクチン接種をすぐには希望しない理由

2021年12月からの変化…“順番待ち”は減少。“副反応の不安”“ブースター・交互接種の不安”には大きな変化はない

 

3回目のワクチンをすぐには接種を希望していない509人を対象に、接種を希望していない理由として19項目をあげて複数回答で尋ねた結果を[図表2]に示す。

※ すぐには接種を希望していない人とは、「まだ接種日は決まっていないが、しばらく様子を見てから接種したい」「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」のいずれかと回答した人とした。

 

[図表2]3月末におけるすぐには接種を希望しない理由(12月調査との比較)
[図表2]3月末におけるすぐには接種を希望しない理由(12月調査との比較)

 

接種を希望していない理由は、“副反応の不安”“ブースター・交互接種の不安”“順番待ち”“3回目不要”“面倒・拘束されたくない”“ワクチンの種類を選びたい”“その他”の7つのグループに分けて、12月末の結果と比較した。

※ この7つのグループは、2021年12月末に実施した「第7回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の結果で、3回目のワクチンを接種しない理由を因子分析した結果を参考に作成した。12月末の調査については、村松容子「12月末での3回目のワクチン接種意向~2回目まで接種した人でも、副反応の不安やブースター接種の不安は大きい」ニッセイ基礎研究所 基礎研レター(2022年2月1日)を参照ください。

 

その結果、3ヵ月経過したことで、「まだ予約券が届いていないから」「まだ国内でのブースター接種が進んでいないから」「まだ医療従事者や高齢者等が終わっていないから」等の“順番待ち”が減少していた。

 

また、「2回目の接種で十分だと思うから」「基本的な感染防止対策で十分だと思うから」等の“3回目不要”や、「接種することが面倒だから」等の“面倒・拘束されたくない”は、12月調査より上昇していた。

 

一方、すぐには接種を希望しない理由として回答した人の割合が高かった“副反応の不安”“ブースター・交互接種の不安”は12月末と大きな変化はなく、接種が進んでも依然として高かった。

 

19項目を個別にみると、2022年3月の調査で理由として最も高かったのが「副反応が心配だから」で、36.7%だった。

 

次いで「まだ予約券が届いていないから(26.1%)」「ブースター接種による副反応の程度や症状についての情報が少ないから(17.3%)」「ブースター接種による効果が明確ではないから(16.9%)」「これまでのワクチン接種による副反応の症状が辛かったから(14.9%)」「2回の接種で十分だと思うから(13.8%)」と続いた。

 

「副反応が心配だから」が36.7%で最も高かったのに対して、「これまでのワクチン接種による副反応の症状が辛かったから」は14.9%にとどまっていることから、「副反応が心配だから」と回答している人の半分以上は、2回目までの接種にはなかった副反応に対して不安を感じているようだ。

 

なお、「その他」としては、感染経験があること、ワクチンの効果に懐疑的であること、スケジュールがあわない・予約がとれないこと、妊娠中であることなどが挙げられていた。