「給与があがらな理由」=「日本の低生産性」といわれているが…
「給与さえあがってくれれば……」。そんな甘い期待を抱いている人も多いでしょうが、その可能性は低く、賃金が上がる根拠がない、というのが日本の現状。
国際労働機関(ILO)によれば、1人当たり労働生産性が最も高い国は「ルクセンブルク」。「アイルランド」や「シンガポール」などの国々が上位にランクイン。「日本」は世界44位で、先進7ヵ国では「日本」はダントツのビリです。
一方、時間当たりの労働生産性をみていくと、トップは「アイルランド」。「ルクセンブルク」や「ノルウェー」などの国々が上位にランクインするなか、「日本」は世界24位。先進7ヵ国では……やはりビリです。
【先進7ヵ国「一人当たり労働生産性」】
1位「米国」131,218米ドル(5)
2位「フランス」102,113米ドル(20)
3位「イタリア」100,165米ドル(23)
4位「ドイツ」99,231米ドル(26)
5位「カナダ」94,585米ドル(29)
6位「イギリス」83,455米ドル(36)
7位「日本」74,706米ドル(44)
【先進7ヵ国「時間当たり労働生産性」】
1位「米国」80.54米ドル/時間(7)
2位「フランス」79.19米ドル/時間(9)
3位「ドイツ」75.97米ドル/時間(12)
4位「ドイツ」69.32米ドル/時間(15)
5位「カナダ」64.24米ドル/時間(16)
6位「イギリス」63.10米ドル/時間(17)
7位「日本」49.37米ドル/時間(24)
出所:国際労働機関(ILO)2020年
※(かっこ)内は世界順位
実は、日本の低生産性は、いまはじまったことではありません。30年ほど前の1991年、当時も日本の労働生産性は、一人当たりにしろ、時間当たりにしろ、先進7ヵ国のなかでビリ。実は定位置なのです。
その後、他の国々は大きく数値を伸ばしていきましたが、それに比べて日本の伸びは劣るというのは、あらゆる数値と一緒です。
もともと日本は「高品質のものを低価格」というのが得意分野。そのため生産性といった部分では劣っていました。その分、「競争力」で戦ってきたわけです。しかし第三国が台頭するなか、日本の優位性は薄れて行くばかり。方向転換ができればよかったのですが、それも叶わず、現在に至ります。
日本はいまや後進国……最近、そんな声も聞かれますが、まさにその通り。「給与があがらない」のは当然のことなのです。