コロナ禍によるテレワークの拡大は、人々のワークライフバランスに大きな変化をもたらしました。本記事では、ニッセイ基礎研究所が2019年~21年に行った独自のアンケート調査をもとに、岩﨑敬子氏がテレワークによる「残業時間」と「時間のゆとりに対する感じ方の変化」についてみていきます。
テレワークをするようになって、残業時間が伸びた独身女性、時間のゆとりができた独身男性 (写真はイメージです/PIXTA)

おわりに

本稿では、ニッセイ基礎研究所が行った独自のWEBアンケート調査をもとに、テレワークによって、独身女性の残業時間は伸び、独身男性は時間的なゆとりを感じるようになった可能性があるという分析結果を紹介した。

 

テレワークによって独身女性の残業時間が伸びたことで、残業があり、テレワークを行うようになった独身男性と独身女性の残業時間はほとんど同じ程度になった。また、テレワークによって独身男性が時間的なゆとりを感じるようになって、テレワークを行う独身女性と独身男性の間の時間のゆとりの感じ方の男女差は縮まったようだ。

 

一方で、既婚者の間では差が縮まる傾向が見られなかったことも興味深い。

 

これらの要因については今後の検証課題であるが、テレワークの拡大によって柔軟な働き方が可能になることで職場での男女差は無くなってきている一方で、家庭での役割については、伝統的な性別役割分業感が継続している家庭が多いことを反映している可能性が考えられるかもしれない。

 

 

岩﨑 敬子

ニッセイ基礎研究所