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人口増加が止まった中国
中国国家統計局が公表した人口統計によると、2021年末時点の全人口(31の省・自治区・直轄市と現役軍人の人口を指し、31の省・自治区・直轄市に住む香港・マカオ・台湾住民および外国籍者は含まない)は14億1260万人で、前年末に比べ48万人増えた。中華人民共和国が建国された1949年の総人口は5億4167万人だったので、約2.6倍に増えたことになる。
建国以来の人口推移を見ると、1960-61年には大躍進政策の失敗やその後の飢饉により2年連続で減少したこともあったが、平均寿命が延びたことなどから基本的には増加傾向だった。
しかし、少子化が進んだことを背景に人口増加率はしだいに鈍化し、1960年代の年率2.3%増をピークに、1970年代が同1.7%増、1980年代が同1.5%増、1990年代が同1.0%増、2000年代が同0.6%増、2010年代は同0.5%増、そして2021年にはほぼゼロとなった[図表1]。
少子高齢化が進展し現役世代人口が減少
ここで少子高齢化の現状を確認しておこう。
まず、出生率(出生数÷全人口)の推移を見ると、改革開放が始まる前(1970年代)の出生率は年平均2.45%だったが、1979年に食糧難に備えて「一人っ子政策」を導入したことを背景に、1980年代には同2.12%、1990年代には同1.76%、2000年代には同1.26%と低下傾向を辿った。2016年には「一人っ子政策」から「二人っ子政策」に移行したため1.357%と前年の1.199%を上回った。
ところが、2017年には1.264%、2018年には1.086%、2019年には1.041%、2020年には0.852%と再び低下し始めたため、2021年には「三人っ子政策」に移行して少子化に歯止めを掛けようとした。
しかし、2021年の出生人口は1062万人で出生率は0.752%と建国以来の最低水準を更新してしまった。教育費など子育てコストが高く、二人以上の子供の誕生を望まない家庭が多いことが主な原因と見られる。
他方、中国では高齢化も進んでいる。全人口に占める高齢者(65歳以上)比率を見ると、改革開放直後(1982年末)には4.9%を占めるに過ぎなかったが、1990年末には5.6%、2000年末には7.0%(高齢化社会)、2010年末には8.9%と、平均寿命が延びたことなどを背景にじわじわと上昇し、2021年末には14.2%(高齢社会)に達し、ついに2億人を超えることとなった。
そして、現役世代となる生産年齢人口(15~64歳)は2013年の10億1041万人をピークに減少し始め、2020年には9億6871万人となり、全人口に占める比率は68.6%まで低下した[図表2]。
しかも、生産年齢人口の減少傾向は今後も続きそうである。中国の人口ピラミッドを見ると[図表3]、新たに生産年齢に達する若年層(0~14歳)の人口よりも、新たに生産年齢を卒業する中年層(50~64歳)の人口の方が多いからである。