整形外科では「異常なし」…原因不明の足痛で疑われる「血管の病気」の恐怖【専門医が解説】

Sponsored
株式会社オンラインドクター.com
整形外科では「異常なし」…原因不明の足痛で疑われる「血管の病気」の恐怖【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

整形外科や皮膚科を受診したものの、なかなか治らない足の痛み……実は「ある状態に陥っている」と、森山記念病院心臓血管外科の曽川正和先生はいいます。本記事では、3名の例をもとに原因不明の足の痛みの原因と治療方法について解説します。

「閉塞性動脈硬化症」になったら…4つの治療方法

病状により開始する治療法が異なりますが、

 

1.薬物療法
2.リハビリテーション
3.血管内治療(カテーテル治療)
4.手術治療


の4つがあります。ここでは、3.血管内治療と4.手術治療について詳しくお話します。

 

血管内治療(カテーテル治療)

 

3.の「血管内治療」とは、カテーテルで治療を行う方法です。

 

血管の内側から風船(バルーン)で狭いところを拡げます。バルーンで拡げただけだとまた狭くなりやすいので、「ステント」と呼ばれる筒状の金網を入れたり、バルーンの周りに薬が塗布されていてその薬が狭くなったところに付着することで、再び狭くなることを防ぎます。ただし、ステントは留置できない部位もあります。

 

血管内治療は、局所麻酔で行います。また、皮膚を切開しないため、体への負担は少なくて済みます。このため、高齢者に対しても行える治療法です。入院期間は2~3日程度です。

 

手術治療

 

4.の手術は、狭くなった血管の部位の前後で人工血管または自分の静脈を用いてつなげることにより、血流を迂回(バイパス)させ、血液不足の部分に血液を流す手術です。そのため「バイパス手術」と呼ばれています。

 

以下はバイパス手術の一例です。赤い部分が動脈で、青部位がバイパスした血管です。

 

バイパス手術の一例
              バイパス手術の一例


バイパス手術は、全身麻酔で行います。皮膚を切開し、動脈を露出する必要がありますので、血管内治療に比べ、体への負担は大きいです。入院期間は1週間程度です。

 

治療の確実性についてですが、3.の血管内治療は病変まで、バルーンを到達することができずに不成功で終わることも稀にあります。また、狭い部位を拡張後、再び狭くなる「再狭窄」と呼ばれる現象も生じることがありますが、複数回治療できるメリットもあります。

 

4.の手術はほぼ確実に治療ができますが、やはりバイパスが狭くなったり、詰まったりすることも稀にあります。

原因の多くは加齢、高血圧などによる「動脈硬化」

多くの場合、動脈硬化が原因です。動脈硬化は、加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症(悪玉コレステロールが高くなる病気)、喫煙が原因といわれています。このため、高血圧、糖尿病、脂質異常症の方は、早めに適切な治療を行うことで、閉塞性動脈硬化症の発症を抑えたり、遅くしたりできます。

 

また、高血圧、糖尿病、脂質異常症は、脳梗塞、心筋梗塞なども引き起こしますので、それらの予防のためにも早めの治療が重要です。

 

閉塞性動脈硬化症を放置してしまうと、最初は歩くと足が痛くなる程度ですが、その後、なにもしないときでも常に、足が痛くなります。最終的には、足に潰瘍ができ、腐ってきて、足の切断が必要になります。

 

筆者の外来に訪れた患者さんのなかには、すでに足を切断された方、切断以外に治療法がない方も時々いらっしゃいます。このような不幸な状態にならないためにも,患者さんが早いうちから正しい情報を得て、適切な診療科を受診することが大切です。

 

 

曽川 正和

森山記念病院

心臓血管外科部長

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。