タワマンを「平均的な負担」で買うには、年収はいくらあればいい?
そんなタワーマンション、メリットとデメリットを「やっぱりタワマン」と憧れを抱く一般層も、最近は購入者の主力になっているのだとか。それだけ聞いて「じゃあ、わたしも」というのは早合点。もう少し、住宅購入について考えてみましょう。
国土交通省『令和2年度住宅市場動向調査』によると、新築マンション購入者の平均は以下の通り。世帯年収が800万円程度で、3,050万円のローンを活用、さらに返済負担率(税込年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合)は17.4%でした。フラット35では、借入限度額を返済率35%以下(年収400万円以上の場合)とされていますが、それよりもかなり負担は抑えたカタチの返済プランを組んでいるというのが現状です。
■新築マンション購入者の平均像
世帯平均年収 798万円
世帯主平均年齢 43.5歳
購入資金 4639万円(うちローン3,050万円)
平均返済期間 31.5年
年間返済額:139.1万円
返済負担率:17.4%
出所:国土交通省『令和2年度住宅市場動向調査』
仮に億ションを返済負担率17%程度で購入しようとしたら、年収はいくらあればいいのでしょうか。頭金1,000万円とし、以下の条件で考えてみます。
借入金:9,000万円
返済方式:元利均等
返済頻度:毎月
金利:当初5年は年利0.6%、以降は1%
返済期間:31.5年
結果、当初5年は月26万1,992円、以降は27万5,730円の返済となります。これが年収の17.4%だとしたら……年収1,900万円であれば、平均的な負担で億ションの購入ができるというわけです。世帯年収と考えても、相当の高給取りカップル、ということになります。
返済負担率を30%にすると……年収は1,100万円程度になり、ぐっとタワーマンションが身近になってきました。
これなら「憧れのタワマン、いける!」と考えた人もいるでしょう。しかし、ローン負担が平均以上であること、さらにペアローンであれば離婚などの際に地獄をみることなど、留意しておく必要があります。また定年後もローン返済が続くのであれば、月27万円超えの返済が現実的なのかもしっかり考えないと老後破産となる可能がぐっと高くなります。
国税庁『民間給与実態統計調査』(2020年)によると、会社員の平均給与は433万円、正社員に限ると496万円です。平均的な負担でマンションを買おうとすると、月々の返済額は7万円ほど。先ほどの億超えのタワーマンションを現実のものにするなら、計算上、8,000万円程度の頭金を用意する必要があります。普通の会社員に、タワーマンションは高値の花のようです。