「確定拠出年金」とは、国が「自主的な老後の資産形成」を支援する目的で整備した制度です。「老後2000万円問題」が騒がれる昨今、本制度をどのように活用していけばよいのでしょうか。今回は、ニッセイ基礎研究所の熊紫云氏が「確定拠出年金」における資産配分の現状とその運用商品の具体的な中身について比較・解説します。
確定拠出年金では何に投資したら良いのか?…外国株式型、国内株式型、バランス型、外国債券型と国内債券型でパフォーマンスを比較してみた (写真はイメージです/PIXTA)

結論

預貯金などリスクのない運用商品、もしくは資産分散の手段としてのバランス型に投資すればリスクを低減できて安心してしまいがちである。バランス良く投資するという語感も良い。

 

しかし、老後のための資金を形成するための確定拠出年金(DC)においては、投資期間が長い若い人は、資産固定型バランス運用より、外国株式といった成長力がある株式インデックスにもっと投資すべきであると考えている。

 

もちろん、株式インデックスに長期投資する場合も注意すべき点はある。株価暴落とかのニュースが流れて、資産の時価残高が大きく減少しても、慌てて元本確保型商品などに入れ替え、損失を確定すべきではないということである。

 

一時的に元本が大きく毀損しても、長期的には高い収益率を獲得できるからである。元本確保型商品などに入れ替えて損失を確定してしまうと、高い収益率を獲得する機会を失うことになる。

 

一方、年齢が上がるにつれ、残る投資期間が短くなり、株価が回復するまで待っていられなくなる。残る投資期間が短くなるにつれ、資産分散により短期的リスクを抑える重要性が増えるので、少しずつバランス型に移行するなど、リスクの低いポートフォリオに移行した方が良い。

 

また、資産運用の結果、十分に満足できる老後のための資産形成ができたなら、思い切って全額を元本確保型にするのも良いと思う。

 

しかし、まずは若いうちに、外国株式などといった成長力が高い資産クラスにより多く投資することで、十分な資産を形成することが先決である。今一度ご自身の確定拠出年金の拠出金割合や運用内容を見直してみてはどうだろうか。

 

なお、確定拠出年金制度は積み立てるときに、個人が拠出する月々の掛け金は全額所得控除の対象となり、運用期間中、運用益が非課税となる税制優遇措置がある。まだ加入していない人は、是非加入を検討してほしい。

 

 

熊 紫云

ニッセイ基礎研究所