有価証券報告書にみる、石油業界の給与事情
このような、苦境にありながら未来のある石油業界。売上高のトップは「ENEOSホールディングス」で5兆9,985億円。「出光興産」4兆5,566円、「コスモエネルギー」2兆2,332億円、と続きます。各社、前年比減と厳しい状況におかれています。
そんな石油業界の給与事情をみていきましょう。厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、「石油製品・石炭製品製造業」の平均給与は、623万7,500円。大卒の男性に限ると、647万4,000円です。全業界の平均と比べると、平均より給与の高い業界といえるでしょう。
さらに有価証券報告書から、売上上位5社の平均給与をみていきます。エネオスやコスモは持ち株会社であり、経営の“本部”にいる社員のものなので、給与は傘下の会社よりも高い可能性があるでしょう。持ち株会社ではない出光興産の場合、平均給与は800万円超え。日本の会社員の平均給与433万円に比べると、羨ましい限りの水準です。
■ENEOSホールディングス株式会社
1,035万4,450人
(従業員:818名、平均年齢:44歳8ヵ月、平均勤続年数:19年5ヵ月)
■出光興産株式会社
855万6,466円
(従業員:5,192名、平均年齢:43歳1ヵ月、平均勤続年数:18年5ヵ月)
■コスモエネルギーホールディングス株式会社
884万5,547円
(従業員:229名、平均年齢:43歳2ヵ月、平均勤続年数:18年6ヵ月)
■国際石油開発帝石株式会社
907万9,575円
(従業員:1,364名、平均年齢:39.53歳、平均勤続年数:14.08年)
■三愛石油株式会社
696万3,4553円
(従業員:410名、平均年齢:42.3歳、平均勤続年数:15.7歳)
国内を代表する大企業でありながら、苦境に立たされている石油業界大手。石油の消費が大きく落ち込む予想のなか、各社、「石油企業からエネルギー企業」へと転換を図ろうとしています。大きく成長する可能性を秘めており、給与面においても、さらなるベースアップが見込める可能性があるといえそうです。