ウクライナ危機で原油価格は高騰。一方でエネルギー転換で、今後需要が大きく減少するといわれている石油業界。まさに大転換期にある業界で働く人たちは、どれほどの給与を手にしているのでしょうか。有価証券報告書などから、平均給与を探っていきます。
エネオス、出光、コスモ…20年で需要半減、逆風吹く「石油業界」の給与事情

有価証券報告書にみる、石油業界の給与事情

このような、苦境にありながら未来のある石油業界。売上高のトップは「ENEOSホールディングス」で5兆9,985億円。「出光興産」4兆5,566円、「コスモエネルギー」2兆2,332億円、と続きます。各社、前年比減と厳しい状況におかれています。

 

そんな石油業界の給与事情をみていきましょう。厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、「石油製品・石炭製品製造業」の平均給与は、623万7,500円。大卒の男性に限ると、647万4,000円です。全業界の平均と比べると、平均より給与の高い業界といえるでしょう。

 

さらに有価証券報告書から、売上上位5社の平均給与をみていきます。エネオスやコスモは持ち株会社であり、経営の“本部”にいる社員のものなので、給与は傘下の会社よりも高い可能性があるでしょう。持ち株会社ではない出光興産の場合、平均給与は800万円超え。日本の会社員の平均給与433万円に比べると、羨ましい限りの水準です。

 

■ENEOSホールディングス株式会社

1,035万4,450人

(従業員:818名、平均年齢:44歳8ヵ月、平均勤続年数:19年5ヵ月)

 

■出光興産株式会社

855万6,466円

(従業員:5,192名、平均年齢:43歳1ヵ月、平均勤続年数:18年5ヵ月)

 

■コスモエネルギーホールディングス株式会社

884万5,547円

(従業員:229名、平均年齢:43歳2ヵ月、平均勤続年数:18年6ヵ月)

 

■国際石油開発帝石株式会社

907万9,575円

(従業員:1,364名、平均年齢:39.53歳、平均勤続年数:14.08年)

 

■三愛石油株式会社

696万3,4553円

(従業員:410名、平均年齢:42.3歳、平均勤続年数:15.7歳)

 

国内を代表する大企業でありながら、苦境に立たされている石油業界大手。石油の消費が大きく落ち込む予想のなか、各社、「石油企業からエネルギー企業」へと転換を図ろうとしています。大きく成長する可能性を秘めており、給与面においても、さらなるベースアップが見込める可能性があるといえそうです。