ウクライナ危機で原油価格は高騰。一方でエネルギー転換で、今後需要が大きく減少するといわれている石油業界。まさに大転換期にある業界で働く人たちは、どれほどの給与を手にしているのでしょうか。有価証券報告書などから、平均給与を探っていきます。
エネオス、出光、コスモ…20年で需要半減、逆風吹く「石油業界」の給与事情

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新型コロナ、ウクライナ危機…価格高騰に揺れる石油業界

資源エネルギー庁が3月9日に発表した『給油所小売価格調査』によると、レギュラーガソリンの価格は、1リットル当たり174.6円。前週172.8円と比べ1.8円、9週連続の値上がりとなりました。

 

ロシアのウクライナへの侵攻による供給不足への警戒感が一段と強くなり、原油価格は上昇。政府は小売価格の上昇を抑えるため、石油元売り会社への補助金上限を引き上げることを決定し、価格上昇分が補助金によって相殺され、価格水準は同水準を保つ、という見方ある一方、原油一段高の可能性も高く、補助金では上昇分をまかないきれないという意見も聞かれます。

 

そのような石油業界、エネルギーの転換によって需要が減少。石油元売に限ると、1980年代には10社以上もありましたが、1996年に特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)が廃止。これにより石油製品の輸入が自由化され価格は下落。石油業界各社の利益は圧迫さえ、再編・統合が加速。現在は「ENEOSホールディングス」「出光興産」「コスモエネルギーホールディングス」に集約。さらに上位2社に比べて、コスモは企業規模が小さいため、さらなる再編の可能性もささやかれています。

 

またこのコロナ禍も、石油業界にとってはマイナスに働きました。移動制限や外出自粛から、自動車や飛行機向けの燃料販売が大幅に減少し、逆風に。『GoToトラベルキャンペーン』により一時的に需要増となったものの、先行き不透明感は拭いきれません。

 

世界的な脱炭素の流れから、国内の石油需要は縮小する見通し。2040年に各社とも半分程度になると予想されています。このような状況下、石油業界では、新たな収益の柱、化石燃料に変わる代替エネルギー事業の拡大が急務。ガソリンスタンドに代わり、水素ステーションも街中にみる機会も増えてきました。

 

またエネオスであれば各地にメガソーラー発電所を建設し、洋上風力発電を強化。出光興産はアンモニア事業に注力し、コスモも洋上風力に本格進出を開始しています。