何となく「大学中退」…デメリットは?
疾病などやむを得ないものもありますし、起業など前向きな中退もあるので、一概に「大学中退」を評価することはできません。
ただ肩書「大学中退」にはその先、多くが大きな困難に直面するでしょう。
まず中退前に就職や進学などといった進路が決まっていない場合を除き、中退後は履歴書上、何もしていない“空白”の期間ができてしまいます。いわゆる「ニート」と呼ばれる生活というわけです。
この空白期間が長ければ長いほど、就職には不利になりますし、社会復帰が億劫になり、大学中退を機に引きこもりに……そんなパターンも多いようです。
就職しようとしても、求人をみると「大卒以上」というケースが多いことから、苦戦を強いられるのは明らか。条件に合わずに応募すらできない、というケースは想像以上に多いのです。
また気を付けなければいけないのが、奨学金の返済です。奨学金制度を利用している場合、中退時に所定の手続きをして奨学金の振り込みが止まるようにしなければなりません。
また返済は大学中退と共にスタートします。経済的に厳しくて大学を中退したが、中退後は奨学金の返済でさらに厳しい……そんなケースもみられます。すぐの返済が厳しい場合は、返済猶予などができないか、事前に調べておくことが重要です。
大学中退で最も悔やむ声が多いのが、給与のことでしょう。いまの日本では、学歴による給与格差が鮮明となっています。
高卒の基本給は平均27万0,400円、手取りにすると約21万円。推定年収は425万6,100円(平均年齢45.2歳)です。一方大卒の基本給は平均36万2,900円、手取りにすると約28万円。推定年収は585万6,600円(平均年齢40.9歳)です。平均値で年収差は160万円ほどになります(厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』)。
さらに生涯年収を比べてみましょう。仮に20歳で大学を辞めて働きだし、65歳になるまで現役を続けたとしましょう。その場合の生涯賃金は1億8,858万7,500円。それに対して、ストレートで大学4年を修了し、同じく65歳になるまで現役を続けたとなると、生涯賃金は2億5,785万3,900円。その差は7,000万円ほど。東京でマイホームが持てるか持てないかほどの差がつくわけです。
これは、あくまで数値上の話。実際にこれ以上になるか、それ以下になるかは確実ではありません。ただ「なんとなく、大学に行く気になれないからやめる」と考えているなら、「大卒」と「高卒」では大きな格差が生じている事実を知ってから、冷静な判断をしてほしいものです。