子どもの教育費…負担増で破綻寸前
家計に対して子どもの教育費がどれほど負担になっているのか、みていきましょう。税金などを引いた可処分所得に対して教育費の割合が最も高いのは「神奈川県」で6.70%。「兵庫県」「京都府」「東京都」「福岡県」と続きます。一方で最も負担が少ないのは「青森県」で1.86%。「島根県」「佐賀県」「茨城県」「大分県」と続きます。子どもの教育にお金をかけるか(かけられるか)には地域差があります。
【教育費の家計に対する負担率】
1位「神奈川県」6.70%
2位「兵庫県」5.90%
3位「京都府」5.36%
4位「東京都」5.12%
5位「福岡県」4.97%
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43位「大分県」2.21%
44位「茨城県」2.17%
45位「佐賀県」2.16%
46位「島根県」2.11%
47位「青森県」1.86%
出所:総務省『家計調査家計収支編』(2021年)より算出
さらに世帯主の所得ごとにみていくと、最も教育費の負担率が高いのは、月収「65万~70万円未満」世帯で、可処分所得に対して6.14%。手取りにすると45万円程度、年収にすると1,000万円程度の世帯が最も子どもの教育にお金をかけています。
【世帯主の所得別「教育費負担率」】
10万円未満:4.88%
10万~15万円未満:1.42%
15万~20万円未満:2.58%
20万~25万円未満:1.97%
25万~30万円未満:3.15%
30万~35万円未満:3.08%
35万~40万円未満:3.91%
40万~45万円未満:4.26%
45万~50万円未満:4.04%
50万~55万円未満:4.88%
55万~60万円未満:5.00%
60万~65万円未満:4.73%
65万~70万円未満:6.14%
70万~80万円未満:5.40%
80万~90万円未満:5.33%
90万~100万円未満:4.43%
100万~110万円未満:3.72%
110万円以上:4.97%
出所:総務省『家計調査家計収支編』(2021年)より算出
子どもの教育費はなかなか踏み込めない聖域みたいなもの。家計が苦しいからと削減を試みることは最も難しい部分でしょう。そのため許容範囲以上に膨れ上がり、気づいたときには手遅れ、となっているケースが多いのです。
最近は初婚年齢、第1子の出産年齢ともに上がっています。子どもが巣立ち、ひと段落を付けるころに定年を迎えることも珍しくありません。しかしそこに落し穴が潜んでいます。
従来、住宅ローンと子どもの教育費にひと段落がつくのは50代前半。それから定年までは老後を見据えて貯蓄を増やすタイミングでした。しかし定年まで教育費がひと段落しない昨今は、定年を迎えるまで貯蓄がほとんどない、「貯蓄ゼロ世帯」も珍しくないのです。しかもそれは教育費が雪だるま方式で膨れ上がりがちな高収入世帯、前出の1,000万円世帯にも多いのです。
老後生活は平均して毎月1万8,528円の赤字となります(総務省『家計調査家計収支編』2021年より)。公的年金だけでは家計はまわらず、貯蓄の取り崩しが必須、それが日本人の平均的な老後です。そのような老後に貯蓄ゼロで突入することが、どれほど大変なことか想像に容易いでしょう。
教育費の負担増で老後破綻まで招かないよう、プランニングしていくことが必要です。