老後生活…想定通りにいくとは限らない
公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、「老後に対して不安を感じる(非常に不安を感じる、不安を感じる、少し不安を感じるの合計)」人は、84.4%。定年後、収入が年金だけになると、貯蓄があっても将来に不安を感じるもの。仕方がないことです。
――でも退職金さえあれば、老後はなんとかなるでしょ。
確かに、前出の統計上の数値から考えると、平均的な退職金を手にしていれば、特に問題はありません。ただ「何も起きなかった場合」に限ります。
たとえば、公的年金21万5,603円とありましたが、これは夫婦合算の場合。どちらかに万が一のことがおき、年金が減るということは十分に考えられます。
たとえば専業主婦だった妻が先に亡くなったとしましょう。年金はそこから5~6万円ほど減り、毎月の収入は15万円ほどになります。夫が亡くなった場合、妻は夫が受け取っていた年金が4分の3を受け取れるので、11~12万円程度を手にすることができると考えられます。配偶者が亡くなった場合、年金も減りますが生活費も減ります。それでも収入が少なくなることに、誰もが不安を覚えるでしょう。
さらにお金以外の心配事としてあるのが、住まいの問題。高齢者の入居を嫌がる不動産オーナーはいまなお多く、賃貸派は苦労するでしょう。配偶者に先立たれ、独居老人となった人はなおさらです。また子どもがいない場合、連帯保証人を見つけるのも容易ではなく、さらに住まいの問題のハードルはあがります。
どんなにお金があっても、不安は尽きることのない老後。「これだけ準備していれば安心」ということはないといってもいいでしょう。
――退職金があるから大丈夫と余裕ぶっていたら、底をついてしまった……
そんな後悔をしないよう、退職金を低リスクで運用してみる、生活費を見直してみるなど工夫をして、少しでも「資産寿命を延ばす」ことを目指してみてはどうでしょうか。