条件・その3…新株発行をしない
自社株買いとは対照的な行為が、新株の発行です。
何かをするための新たな増資や、役員や従業員への報酬のためなど、時に会社は新たな株式を発行することがあります。
しかしこれは、既存株主の利益を損ないかねない行為です。なぜならば、もし発行株式数が増えれば、既存の1株あたりの価値が希薄化されてしまうからです。
もちろん様々なことを考慮してその会社は新株を発行するのであり、それがのちに利益や株価向上に結びつく場合もあります。しかしながら、基本的にはやはり、新株を発行しない会社の方が、株主のことを考えているといえるのではないでしょうか。
ちなみにこの新株の発行についても、有価証券報告書で調べることができます。
条件・その4…長期的な視点から、条件1~3を考慮しない会社を選ぶ手も
以上、株主のことを考えている会社の条件を挙げてみましたが、実はそれらをあえて考慮しないこともまた、結果的に株主の利益となる場合があります。
それは、長期的な視点にもとづいた経営を行うためです。配当も自社株買いも控えてキャッシュを浮かせ、さらに新株発行で増資をしてキャッシュを集めたり、優秀な役員や従業員を確保するためその報酬として新株を発行したりして、将来に向けた大きな投資をすることもまた、戦略の一つです。
そしてその戦略が当たれば、業績も株価も向上し、株主にとっては利益となります。
株主はどうしても短期的な視点で配当収入や株式売却益を望みがちですが、あえてそれを考慮せずに長期的な視点で経営を行うこともまた、結果的に株主の利益となることがあるのです。
まとめ:株主のことを考えている会社に投資しよう!ただし適正以下の価格で
- 配当が多い
- 適時自社株買いをおこなう
- 新株発行をしない
- 長期的な視点からあえて1~3を考慮しない
以上が株主のことを考えている会社の条件です。これらを多く満たす会社は、すなわち「良い会社」でもあり、投資の選択肢としては魅力的ではないでしょうか。しかし、高い価格で買ってしまえば、利益が出る確率は下がってしまいます。したがって、適正以下の価格で買えるタイミングを見計らって、買うようにしたいものです。
株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
川合 一啓