(※写真はイメージです/PIXTA)

何気ない日常で感じる足の痛み……原因はさまざまですが、朝起きて歩いた際に痛みを感じたら要注意です。形成外科専門医で足と歩行の診療所蒲田院院長の吉原正宣氏が「明日歩けなくなるかもしれない」恐ろしい疾患について、具体的な症状や治療法を解説します。

足底腱膜炎の具体的な症状と「発症しやすい人の特徴」

特徴的な症状として「寝起きの数歩がもっとも痛む」ことが知られており、この痛みを我慢してしばらく歩いていると痛みが緩和されていきます。

 

一時的には症状を改善するために我慢を繰り返した結果、重度の踵の痛みが生じ、立てなくなったり、歩けなくなったりしてから病院に駆け込む人が多く見受けられます。

 

そのほか、長時間座っているなど、同じ姿勢を続けてからの急激な移動動作による踵の痛みも比較的よく耳にする訴えです。

 

痛みを放置していると、慢性的に踵が痛むようになり、そこから足首の痛み、膝痛や腰痛などの腰痛などに発展していくこともあります。

 

また、足底腱膜炎になりやすい人の特徴として、

 

・年齢:好発年齢は40代〜60代
・特定の動作:長距離走をはじめとしたスポーツをしている
・足の形:甲高、扁平足のほか、歩き方も問題あり
・職業:立ち仕事(教師や工場勤務など)
・肥満

 

などが挙げられます。

「健康な踵」を取り戻すために…診断と治療法

足底腱膜炎は詳細な病歴の聴取(特に前述の『寝起きの数歩』は特徴的)と、痛みが生じる部位での痛みの再現が一般的に用いられています。

 

レントゲンを用いた足の形の確認や、MRIによる炎症部位の確認と鑑別疾患を行うことも有効です。

 

また、近年では侵襲の少ない超音波検査を用いて、足底腱膜実質の腫大や周囲の炎症を確認することも再注目されています。

 

ただし、レントゲンやMRIのような画像検査を行うと、しばしば踵骨(かかとの骨)にトゲを認めることがありますが、その現象だけでは診断の決め手にはなりません。

 

およそ9割の方が1ヵ月〜3年の間に自然治癒されるとされており、医療機関でも漫然と湿布のみの処方を継続されていることもしばしばあります。

 

医療用インソール(足底挿板/中敷き)で治療可能

医療用インソールは、足底に集中的に生じる圧力を分散しつつ、足底腱膜をリラックスさせることができます。さらに、足部が本来あるべき形になるように強制してくれるのです。医療用インソールは多くの場合、保険適応となります。

 

副作用が少ない「体外衝撃波疼痛治療」

衝撃波とは、気体、個体、液体のなかで音速を超えたときに発生する圧力の波(音波の一種)で、大きな力を瞬間的に与えることができるのが特徴です。元々は腎臓や尿管などに生じていた結石に対して、破砕(はさい)を行う目的に使用されていました。

 

2013年4月に「難治性の足底腱膜炎」に対して保険適応が認められています。数回の受診は必要になりますが、体外から強い刺激を与えるのみであるため、痛み止めの注射などと比べて、侵襲が少なく副作用もほぼなく、かなり重宝する治療法です。

 

足底腱膜炎は、足の病気を診察していると、「踵の痛み」として一般的にである疾患のひとつです。

 

かなり軽度な状態でも、特徴的な朝の痛みだけではなく、歩けないほどの重症に発展することもある恐ろしい病気です。

 

一方、適切な介入で必ず効果の期待できる疾患であるため、踵に違和感があれば、まずは足の専門医を受診することをおすすめします。

 

 

吉原 正宣

足と歩行の診療所蒲田院

院長

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』掲載の記事を転載したものです。