今年4月、年金制度が改定となり、年金を受け取りながら働く「在職老年年金制度」が変わります。「高齢者の働き方が変わる」などといわれていますが、実際はどうなるのでしょうか。みていきましょう。
2022年4月「在職老齢年金制度」の改定も「騒がれているほど影響なし」と言えるワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

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2022年4月…就労をセーブしていた高齢者に朗報

2013年、「高年齢者雇用安定法」の改定により、定年は60歳から65歳へと段階的に引き上げとなりました。2025年4月からは、定年制を採用しているすべての企業で65歳定年制が義務となります。

 

さらに2021年に施行された改正「高年齢者雇用安定法」では「70歳までの定年引き上げ」が努力義務となり、いずれ、65歳定年制が70歳定年制にとなるというのが大方の予想です。

 

定年年齢の変更とともに気になるのが年金。

 

――定年後、再雇用で働き続けたら年金が減らされた

――定年して働かないほうが年金が多いなんて……不公平!

 

そんな声を聞いたことはないでしょうか。収入によって年金が減る……これは「在職老齢年金制度」によるものです。70歳未満の人が厚生年金に加入して働いている場合など、「基本月額」や「総報酬月額相当額」によって、厚生年金受給額の一部、もしくは全額が支給停止となる可能性があるというものです。

 

65歳以上では、「基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下」であれば「全額支給」ですが、「基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円超」であれば、「(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2×12」が支給停止額となります。

 

たとえば、老齢厚生年金が月額10万円*、総報酬月額相当額41万円の人の場合、「(41万円+10万円-47万円)×1/27×12=年間24万円」と、月換算で2万円が支給停止対象となり、老齢厚生年金は10万円から2万円を引いた8万円が支給されることになります。なお国民年金(老齢基礎年金)は支給対象にならず、この場合、「賃金・賞与41万円」+「老齢厚生年金8万円」+「老齢基礎年金」が月の収入になります。

 

また現行では60〜65歳の在職中は月額28万円が収入のボーダーライン。しかし2022年4月に改正となり、65歳以上同様、月額47万円が支給停止基準となります。

 

今まで仕事していたけど、年金を満額受け取りたいからとセーブをしていたり、現役並みに働いていたら年金支給が停止となり、労働意欲が減退していた人は、存分に働けるようになったというわけです。