
「想定ミスのリスク」と「空売りのリスク」を忘れるな
しかし、このテクニックを用いる際には、以下の2つのリスクに気をつけなければいけません。
1つは、「値上がりしそうな銘柄」「値下がりしそうな銘柄」という想定自体が誤りであるということです。
それらはその企業のPERやPBR、配当利回りなどの指標、ビジネスモデル、成長性、財務健全性、材料、など様々な要因から総合的に判断されるものです。そして、それは投資をしようとする人の判断であり、絶対的な正解があるわけではありません。また、その「確率」がどの程度の量なのかも、人によって判断が分かれるところです。
したがって、これはあくまで自分の判断であり、絶対的なものではないと考えておく必要があります。
また、空売りには、その取引方法自体にリスクがあります。決済には期限があり、未決済の期間が長いほど各種の経費が加算されていきます。そして株価というのは、値下がりの場合はゼロになるだけですが、値上がりに上限がないため、理論上空売りの損失は無限大です。
これら2つのリスクを考慮したうえで、よく情報を集める、よく検討する、失敗しても破滅しない金額を投入するなど、安全性を確保しながらこのテクニックを用いることをおすすめします。
■まとめ:このテクニックを試すなら安全性を確保した上で
この「値上がりしそうな銘柄を買い」と「同業で、値下がりしそうな銘柄を空売り」という組み合わせは、リスクヘッジをしつつ高確率で利益を狙うことのできるテクニックです。空売り銘柄の探し方として、そのような基準もあるのです。この組み合わせでは、その後の様々な株価変動に対して利益を見込むことができます。
ただし、「値上がりしそうな銘柄」「値下がりしそうな銘柄」という想定自体が誤りであるというリスクや、空売りという取引自体にひそむリスクがあります。このテクニックを試す際には、これらも考慮しておくことをおすすめします。
株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
川合 一啓