「高齢の生活保護受給者」増加という深刻すぎる問題
将来の日本においては、年金財政や医療保険財政の悪化とともに、生活保護が国家財政の更なる悪化を引き起こすことになるはずだ。すでにその兆候はみられている。生活保護を受給している人の数は2018年に206万9000人となっており、長期的に増加傾向にあるのだ([図表]参照)。
生活保護受給者数は若者や中堅の間でも増加傾向にあるが、その最も大きな要因となっているのが高齢者の増加である。
被保護人員の年齢階級別内訳をみると、65歳以上が近年急速に増えている。2018年における被保護人員のうち高齢者が占める割合は、全体の50.3%まで上昇している。少子高齢化が生活保護受給者数の増加を牽引しているのである。
高齢の生活保護受給者はもれなく低年金者であると考えられる。今後、低年金の単身高齢者はますます増える。不遇な中堅層が単身高齢者となることで、大きな社会問題を引き起こす。未婚非正規が定着した現代において、もはやこれは受け入れざるを得ない日本の未来なのである。
坂本 貴志
リクルートワークス研究所 研究員