非正規雇用者は正規雇用者と比較して「仕事満足度」が高い一方で、「低年金の単身高齢者増加」という深刻な問題を引き起こす。ここでは「受け入れざるを得ない日本の未来」について、リクルートワークス研究所研究員の坂本貴志氏が解説していく。 ※本連載は、書籍『統計で考える働き方の未来 ――高齢者が働き続ける国へ』(筑摩書房)より一部を抜粋・再編集したものです。
生活費「月15万円」の単身高齢者…「生活保護受給者」増加で日本社会に暗雲が立ち込める (写真はイメージです/PIXTA)

「高齢の生活保護受給者」増加という深刻すぎる問題

将来の日本においては、年金財政や医療保険財政の悪化とともに、生活保護が国家財政の更なる悪化を引き起こすことになるはずだ。すでにその兆候はみられている。生活保護を受給している人の数は2018年に206万9000人となっており、長期的に増加傾向にあるのだ([図表]参照)。

 

出典:厚生労働省「被保護者調査」
[図表]生活保護受給者数 出典:厚生労働省「被保護者調査」

 

生活保護受給者数は若者や中堅の間でも増加傾向にあるが、その最も大きな要因となっているのが高齢者の増加である。

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被保護人員の年齢階級別内訳をみると、65歳以上が近年急速に増えている。2018年における被保護人員のうち高齢者が占める割合は、全体の50.3%まで上昇している。少子高齢化が生活保護受給者数の増加を牽引しているのである。

 

高齢の生活保護受給者はもれなく低年金者であると考えられる。今後、低年金の単身高齢者はますます増える。不遇な中堅層が単身高齢者となることで、大きな社会問題を引き起こす。未婚非正規が定着した現代において、もはやこれは受け入れざるを得ない日本の未来なのである。

 

 

坂本 貴志

リクルートワークス研究所 研究員