(※写真はイメージです/PIXTA)

先日公表された令和4年度税制改正大綱では、住宅ローン控除の見直しが大きなニュースになりました。税制改正大綱は将来の税制改正の方向性を示すものであり、本文を読むと富裕層の資産を狙った税制改正の動きも見て取れます。この記事では、今後導入される可能性のある富裕層狙いの税制改正とそれに対する資産防衛策について、響き税理士法人の税理士・友野祐司氏が解説します。

贈与税の非課税措置も…?「大切な資産を守る」策

◆贈与税の非課税措置の縮減

 

最後に贈与税の非課税措置の縮減です。贈与税には、住宅取得資金、教育資金、結婚・子育て資金を直系尊属から受けた場合の非課税措置があります。

 

この現行制度について税制改正大綱では、「経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある」と指摘しています(※p.11)

 

贈与税の非課税措置は年々縮減されているため、近い将来これが廃止される可能性もあります

 

以上、今後導入可能性のある税制改正のうち、富裕層の方々に影響があると思われる項目について紹介しました。次に、これらの税制改正に備えた資産防衛策を紹介します。

富裕層が資産を防衛するには…

◆資産を分散する

 

資産防衛策の一つ目は、「資産を分散する」という方法です。たとえば資産管理会社を設立して持っている上場株式をその会社に移転すれば、上場株式の配当や売却益に対しては所得税ではなく法人税が課税されることになるため、最高50.945%の税率が適用されることもなくなります。

 

あるいは、「一定程度の配当収入がある人に対しては高い所得税率で課税する」という税制が導入された場合に備えて、持っている上場株式を親族に移転させるという方法もあります。所得税は個人単位で課税されるため、親族内に所得を分散することができればトータルの税負担額は減る傾向にあります。

 

◆今のうちに親族へ贈与する

 

資産防衛策の二つ目は、「今のうちに親族へ贈与する」という方法です。現行法であれば贈与税の非課税枠(年110万円)と贈与税の非課税措置があるため、法改正がされる前に資産を親族へ贈与すれば一定限度までの資産を無税で親族へ移転することができます。

まとめ

以上、今後導入される可能性のある富裕層狙いの税制改正とそれに対する資産防衛策を紹介しました。税制改正大綱を読むと、富裕層に対する課税を強化しようという政府の方針が見て取れます。大切な資産を守るため、法改正がされる前にこの記事で紹介した資産防衛策を講じられることをおすすめします。

 

 

友野 祐司

響き税理士法人 マネージャー/税理士

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