FXのレバレッジ取引は少額資金で多額の利益を狙えますが、その分、大きな損失やロスカットの危険性が高まります。レバレッジのメリットやリスク、リスク低減のポイントについてみていきましょう。
FXの「レバレッジ取引」…リスクを低減させるポイント、9つ【プロFXトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

レバレッジのリスクを低減させるポイント

レバレッジのリスクを低減するために、事前の練習や相場分析、損切りの徹底や十分な証拠金維持率の確保などを行いましょう。また、重要経済指標発表前の取引を控え、経験を積むまではレバレッジは低く抑えることもポイントです。

 

ここでは、レバレッジのリスクを低減するポイントについて見ていきましょう。

 

①デモ口座で練習をして本番に臨む

本番でレバレッジをかける前に、デモ口座で練習をしましょう。いきなり本番でレバレッジをかけると、評価損益の変動の大きさに驚いてしまうためです。レバレッジ取引に慣れるためにもデモ口座を活用してください。

 

デモ口座は多くのFX会社が提供しており、バーチャルマネーを使うため実際のお金は1円も減りません。本番同様の環境で各注文方法やテクニカル分析、ファンダメンタルズ分析などの練習ができます。

 

レバレッジをかけると通常の取引よりもリスクが高くなるため、デモ口座で十分に練習をして本番に臨みましょう。

 

②取引前に相場分析をする

レバレッジをかける場合は、取引前に相場分析をしましょう。テクニカル分析やファンダメンタルズ分析をすることで利益を稼ぎやすくなるからです。

 

相場分析をせずに、勘で取引するのはやめましょう。経験豊富で実績があるトレーダーであればいいですが、FX初心者が勘で取引をしても損するだけです。また、経験豊富なトレーダーは、しっかりと相場分析をしたうえで取引をしています。

 

相場分析に自信がない方は、事前に本やWebサイトで勉強し、デモ口座で練習することをおすすめします。レバレッジ取引はハイリスク・ハイリターンなので、相場分析をして勝率が高いと考えられる場面でポジションを持ちましょう。

 

③必ず損切りをする

レバレッジ取引は多額の損失を負う可能性があるため、必ず損切りを行いましょう。損切りができていないと、含み損が拡大してロスカットになるリスクが高くなります。ロスカットになれば投資資金の大半を失います。

 

「XXpips下がったら」「X円安くなったら」など、あらかじめルールを決めて、損切りを徹底しましょう。忙しくてチャートを見る時間がない方は、ストップ注文(逆指値注文)の活用をおすすめします。

 

ストップ注文は相場が不利な方向に動いた時に、あらかじめ指定したレートで決済する注文方法のことです。ストップ注文を出しておけば、計画通りに損切りができ、損失の拡大を防げます。

 

④証拠金維持率は高く保つ

レバレッジのリスクを低減するためにも、証拠金維持率は高く保ちましょう。証拠金維持率に余裕がないとロスカットになりやすいからです。レバレッジをかけると取引金額が大きくなるため、証拠金維持率が一気に下がる可能性があります。そして、FX会社が定める基準を下回ればロスカットが執行されます。

 

国内FX会社のロスカット基準は50%〜100%程度であることが多いです。最低でも200%〜300%以上の証拠金維持率を保ち、少しでもロスカットのリスクを抑えましょう。

 

FX会社によってロスカット基準が異なるため、必ず確認するようにしてください。

 

⑤メジャー通貨で取引をする

レバレッジをかける際は、米ドルや円、ユーロなどのメジャー通貨で取引をしましょう。メジャー通貨は新興国通貨と比べて値動きが落ち着いていることが多いです。情報量も豊富で、テレビや本、Webなどから取引に役立つ情報を収集できます。

 

一方、南アフリカランドやメキシコペソ、トルコリラなどの新興国通貨は値動きが激しい傾向があります。また、テレビや本、Webなどから収集できる情報は少ないです。

 

レバレッジ取引はハイリスク・ハイリターンなので、相場動向を予測しやすく少しでもリスクを抑えられるメジャー通貨を選択しましょう。

 

ただし、メジャー通貨でも相場が急変することがあるため注意してください。

 

⑥重要経済指標の発表前はポジションを持たない

重要経済指標の発表直後は、相場が急変することも多いです。米ドル/円であれば、雇用統計やFOMC声明後に1円以上値動きするケースもあります。

 

重要経済指標の発表前にポジションを持ってしまうと、発表後の相場急変で大きな損失を負い、ロスカットになる可能性があります。多額の利益を得ることもありますが、ロスカットリスクを考えるとポジションは持たないほうがいいでしょう。経験豊富なトレーダーであればいいですが、初心者には危険です。

 

事前に重要経済指標の発表スケジュールを調べ、発表前はポジションを持つのを控えましょう。

 

⑦レバレッジは低く抑える

レバレッジをかける場合は、倍率を低く抑えましょう。高レバレッジになるほど、資金効率が高くなり得られる利益は大きくなります。しかし、損失も大きくなるので注意が必要です。

 

国内FX会社は最大25倍のレバレッジ取引ができますが、ハイリスク・ハイリターンです。証拠金維持率に余裕がなければ、ポジションを持ってすぐにロスカットになる可能性もあります。

 

FXを始めて間もない方は、2倍〜3倍以下などできるだけレバレッジを低く抑えてロスカットリスクを低減するようにしましょう。

 

➇高レバレッジのスワップポイント狙いはしない

レバレッジをかけると取引金額が大きくなるため、日をまたいでポジションを保有すると多くのスワップポイントを獲得可能です。

 

ただし、高レバレッジでスワップポイントを狙うと、ロスカットリスクが高くなるので気をつけてください。高レバレッジだと、わずかな値動きで多くの損失を抱えてしまいます。また、保有期間が長くなれば、相場変動リスクも高くなります。

 

金利差によってはスワップポイントを支払うことにもなるため注意が必要です。

 

⑨取引には余裕資金を使う

レバレッジ取引に限った話ではありませんが、FXをする際は必ず余裕資金を使いましょう。生活資金ではなく余裕資金を使うのは、投資の鉄則です。

 

生活資金を使ってしまうと、損失が出たりロスカットになった場合に「ロスカットになって家賃が払えなくなった」「貯金がほとんどなくなった」「損失が出てクレジットカードの支払いができない」など、他の支払いや生活に影響が出る可能性があります。

 

支払いの遅延や滞納が発生すれば、さまざまな支障が出ます。レバレッジ取引はもちろんのこと、通常時の取引においても余裕資金を使うようにしてください。

まとめ

レバレッジをかければ少額資金で多くの利益を狙えますが、多額の損失を負い、ロスカットになるリスクがあります。そのためレバレッジ取引をする場合は、デモ口座での練習や取引前の相場分析、通貨選び、損切りの徹底、証拠金維持率管理などを行い、リスクの低減を図りましょう。

 

FX初心者の方やこれからレバレッジ取引を始める方は、ここで紹介した内容を参考にして、少しでもリスクを抑えるようにしてください。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員

 

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