子どもが不登校になったら、保護者は愕然としてしまうかもしれません。しかし、対応の仕方によっては、子どもは期待に応えられない自分を責め、ますます学校に行けなくなる、という悪循環を生む可能性があるのです。本記事では、フリースクールを経営するほしな和生氏が、不登校の子どもと親がどのように関わっていくべきか解説します。
不登校の子のきょうだい「学校行きたくない」保護者はどう対応すべき?フリースクール経営者が解説 (※画像はイメージです/PIXTA)

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不登校の子どものきょうだい「私も学校行きたくない」

質問①:「不登校の子どものきょうだいも学校に行きたくないと言い出しました。どうしたらいいですか?」

 

 

学校に行かないお兄ちゃん、お姉ちゃんを見て、そのきょうだいも同じ道の不登校を選ぶことが、実はよくあります。

 

我が家の場合、不登校中の子どもの下にきょうだいたちがいたのですが、なんか学校には行かず日々充実しているっぽい子どもを見て、「いいなあ、自分も同じように学校行きたくないなあ」と言って、きょうだいたちみんな不登校の子どもにあこがれておりました。

 

私自身、まあどうしても行きたくないとなったら、下の子らが不登校になっても仕方ないな、と覚悟しつつ、でも行けるなら学校に行って欲しいな、と思う自分がいました。

 

ですので、たまに下のきょうだいたちが、「学校行きたくない」と言う朝があるんですが、私は割と軽いノリで、「じゃあ、休んじゃう?」と言って、体調不良などと理由をこじつけて休ませています。そうすると、一日休んだら気が済むのか、みんな次の日は何もなかったように学校に行っています。

 

他のきょうだいたちにも、「学校に行きたくない」と言われた時は、あまり深く考えずに(まあ、そういう時もあるわいな)と思って休ませた方がいいかもしれませんね。

不登校児だけを特別扱いしているのではないと説明する

やはり、きょうだいの、

 

「なんでお兄ちゃん、お姉ちゃん、妹、弟は学校休んでええのに、自分は行かなあかの?」

 

と言う疑問に、きちんと答えてあげましょう。例えば、

 

「お兄ちゃんは、学校に行くと体の調子が悪くなってしまうから、今は休んでるねん。あなたも調子が悪くなるんやったら、休んでもええよ」

 

「お姉ちゃんは学校に居る人たちと一緒に過ごすのがしんどいから、家で勉強してるねん。あなたもそうなんだったら、家に居てええよ」

 

などと説明して。お兄ちゃん、お姉ちゃん、妹、弟を特別扱いしているのではなく、他のきょうだいにも是非、同じように接してあげて欲しいと思います。その結果、やっぱり不登校を他のきょうだいの子が選んでも、それはそれでいいと思うんですね。

 

子どもに合った方法で、その子の[好き]なコト、[得意]なコト、[やりたい]コトを是非一緒に見つけてあげてください。そして、その子が一番輝ける場所で活躍できるよう、サポートをしてあげてください。

 

特に、今の日本の教育は問題だらけです。この教育を信じて学校に全てを任せていると、社会に出てから本当に必要な、生きていく力がしっかり育ちません。そして多分誰も、その責任を取ってはくれません。不登校を選んだ暁には、学校に行かない膨大な時間を活用して、子どもが輝ける時間を是非取り戻して欲しいと思います。その中で、子どもの生きていく力は確実に育まれます。

子を思う気持ちが強いあまり、保護者は先回りしがち

質問②:子どもが自分から動かないので、ついつい先回りしていろいろ世話を焼いてしまいます。

 

保護者が自覚なく、必要以上に動いてしまっている場合も割とあるのではないかと思います。それもこれも、子どもを思う気持ちが強いから仕方がないのですが。

 

でも先回りし過ぎると、子どもにはあまり良い影響を与えないのではないかと思います。私は、保護者があまり世話を焼かないことにより、生きていく上で非常に大切な、自分で考えて行動する力(下記5つ)が育つと思っています。

 

1.主体性が育つ…人に頼らず自ら考え、問題を解決する力がつく

2.試行錯誤力、問題発見力、周囲に協力を求めるコミュニケーション力が育つ…失敗することにより、そこから成功につなげる力がつく

3.自主的に行動できる力、自己を管理する力が育つ…自発的な行動、自分で計画を立て管理する力がつく

4.創意工夫力、発想力が育つ…お金やもの、情報があまりない中でも、他の方法での解決方法を見つける力がつく

5.責任力が育つ…自分で考え行動した結果に対して、自分で責任を持つ力がつく

「自分から動き出すのを待つ」のは忍耐力を要するが…

子どもが自分から動き出すのを待つこと、試行錯誤して失敗を繰り返す場面を口出しせず見守ることは、大変な労力、忍耐力を要します。

 

しかし、保護者が先走ってしまうことで、子どもに良い影響を与えない場合も多々あります。あまり干渉し過ぎて、子どものことを保護者が勝手に決めてしまうと、子どもの[責任を持って自分で考えて決め、行動する]機会が減ってしまいます。決断力、行動力が育たないと、いざ社会に出たとき困ってしまうかもしれません。

 

全ての困難や失敗から遠ざけて親が守ってしまうと、子どもはその時には傷つかずに無難にやり過ごせますが、実は子どもが成長するチャンスや、失敗を経てそれを成功につなげる機会を奪ってしまいます。失敗に対する免疫がないと、失敗したときに立ち直れなかったり、そんな自分を受け入れられず、自分が嫌い=自己肯定感が低くなったりしてまいます。ぐっと我慢して、子どもへの干渉は極力控えてみましょう。

 

そして、保護者は子どものことで一喜一憂するのではなく、先ずは自分の人生を楽しんでみませんか? そんな楽しそうな保護者の姿を子どもは意外としっかり見ています。

 

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ほしな 和生

大阪府立大学卒業。 某大企業勤務時代に小学校への出前授業を一から企画、教材開発し、講師として教壇に立つ。 延べ1万人の子どもたちに授業を実施。 出前授業は「キッズデザイン賞」、「おおさか環境賞」大賞受賞。 その後独立してフリースクールを立ち上げ、学校に行っていない子どもとその保護者のサポート支援に従事。 趣味はバンド活動、動植物飼育、日本酒、旅行など。