マンション投資を検討している投資家は、物件の利回りや立地等、さまざまな点を分析する必要があります。そのなかで物件の「築年数」も重要な項目のひとつです。新築、中古、どちらを選ぶべきか……それぞれのメリット・デメリットを考慮した投資シミュレーションから意外な結果がみえてきました。
シミュレーションで判明…マンション投資は新築と中古はどちらが得か

新築と中古、それぞれのメリットとデメリットとは?

それでは、当記事のテーマである不動産投資の新築と中古、どちらがよいのかという比較をするためにそれぞれのメリットとデメリットを探ってみましょう。

 

新築マンションのメリット・デメリット

新築マンション投資のメリットは、主に3つあります。

 

●新築なので集客力が高く入居者がつきやすい

●新築なので強気の家賃設定でも入居者がつきやすい

●設備が新しく修繕やメンテナンスの必要がほとんどない

 

これらはいずれも、新築マンションをお考えの方であれば想像がつきやすいことではないでしょうか。これらのメリットを求めて新築物件を物色する方は多いと思いますが、その際には以下のデメリットもしっかり留意しておきましょう。

 

新築マンション投資のデメリットは、たった1つ。それは、物件の価格が高いことです。新築プレミアムの上乗せがあるため、新築時だけ許される強気の家賃設定が可能な期間を過ぎてしまうと、取得費用の高さが重くのしかかってきます。

 

それでは、ある一例で考えてみましょう。2,000万円の新築物件(自己資金200万円、ローン1,800万円)を購入し、5年目が終わった時点で物件を売却するケースを想定してみます。

 

2年目までのネット収入は110万円、3年目から90万円、キャップレート(利回り実績)は8%としましょう。5年目が終わった時点で販売するとき、価格はネット収入をキャップレート(利回り実績)で割ったものになりますので、90万円÷8%=1,125万円となります。

 

この間、家賃のネット収入は110万円×2+90万円×3=490万円。売却価格の1,125万円に490万円を足しても1,615万円となり、購入価格の2,000万円には、385万円も届かない結果となりました。

 

また、ローン金利が3.5%だとすると、売却時のローン残高は約1,615万円となります。売却価格は1,125万円ですので、この時点で490万円の債務超過が出ています。この490万円を別口から用意しないと、銀行からは融資を受けられません。得られた家賃をまるまる残していてもプラスマイナスゼロという結果でした。

 

このように、新築プレミアムによる家賃収入の減少は、売却時に大きく影響するということがお分かりいただけたでしょうか。新築だと利益を出しにくいと言われていることには、こうした数字の根拠があるのです。

 

中古マンション投資のメリット・デメリット

それでは、もう一方の中古マンション投資についてはどうでしょうか。中古マンションのメリットとデメリットは、ほぼ新築のメリット・デメリットの裏返しです。

 

そのため、デメリットは築年数が経っていることによる集客力の低下や、メンテナンスコストの増大などです。これは逆に考えると、これらのデメリットさえ克服できれば利益を出しやすいことになります。

 

新築マンションのデメリットである価格はこちらの努力でどうすることもできませんが、中古マンションのデメリットは後からでも克服が可能です。

 

それでは、中古マンション投資についてもシミュレーションをしてみましょう。中古の場合は新築プレミアムがないため、家賃設定が購入後2、3年ですぐに下落することはありません。

 

購入価格が1,200万円、年間の家賃収入を90万円とすると、5年後も90万円と予想されます。売却価格は90万円÷8%=1,125万円になりますので、家賃収入合計を加えると、1,125万円+450万円=1,575万円で購入価格を上回ることになります。

 

購入価格1,200万円のうち銀行から1,000万円を上述のケースと同じく金利3.5%、30年で借りた場合の5年後の残債は約900万円です。売却価格から残債を差し引くと、1,125万円-900万円=225万円の黒字となります。

 

また、市場の変化で、購入時よりも販売価格が上がることがあります。キャップレートが8%から7%になると、売却価格は90万円÷7%=1,285万円になり、購入価格よりも85万円も高く売れるのです。このようなシミュレーションが可能なのも、中古マンション物件には新築プレミアムがないからです。

 

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