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富裕層からマス層までを定義する「純金融資産」
純金融資産とは、金融資産の合計額から住宅ローンなどの負債を差し引いたものです。金融資産には預貯金や株式、債券、投資信託のほか一時払い生命保険や個人年金保険などが含まれます。
つまり、純金融資産は不動産などとは異なり、すぐに現金化できるようなものを指します。
2019年に金融広報中央委員会が「家計の金融行動に関する世論調査」を実施しました。この調査によると2019年度における金融資産の平均保有額は単身世帯645万円、2人以上世帯1,139万円です。中央値は単身世帯45万円、2人以上世帯419万円となっています。
中央値はいずれも前年比で減少していますが、2010~2019年でみると単身世帯はピーク時の半分以下、2人以上世帯は平年並みです。
金融商品の種類別にみると単身世帯も2人以上世帯も「預貯金」がトップで、いずれも全体の4割以上を占めます。単身世帯は次いで「有価証券」「投資信託」が多く、2人以上世帯は「保険」「有価証券」と続きました。
金額で5階層に分かれる
株式会社野村総合研究所は、純金融資産の金額で国内の総世帯を以下の5つの層に分類しています。
2017年度におけるその内訳と合計保有額は、[図表2]のようになっています。
2018年に発表した調査との比較では、富裕層・超富裕層の世帯数が前回2015年の推計から約5万世帯も増加しました。
同社は、その背景としてアベノミクス政策による景気拡大と株価上昇で資産を増やした世帯があると考察しています。
ランクを上げるには結婚や共働きも有効
ランクを上げるにはどうすればよいか考えてみましょう。先述したように純金融資産はすぐに現金化できるのが特徴です。
ということは、現預金がたくさん持てるようになれば純金融資産は増えます。つまり収入を増えれば、純金融資産が増加したことになるのです。
では、各階層の世帯はどのくらい年収があるのでしょうか。厚生労働省が行っている国民生活基礎調査(2019年)によると、年収1,700万円以上の世帯は2.1%、1,100万円以上1,700万円未満の世帯は6.9%、800万~1,100万円未満の世帯は12%、それ以下は78.9%でした。(概算のため合計は100%にならない)
一方、先述した純金融資産による各階層に存在する世帯数の割合を算出すると[図表4]のようになります。
富裕層・超富裕層は2.4%、準富裕層6.0%、アッパーマス層13.4%、マス層78.2%です。
2つの調査の数字を比較してみてください。それぞれの年収層と純金融資産による階層は、おおまかですが一致しています。
準富裕層に移行するには1,100万~1,700万円、アッパーマス層に移行するには800万~1,100万の年収になればいいということになります。