子どもが不登校になったら、保護者は愕然としてしまうかもしれません。 しかし「学校にさえ行ってくれたら」と思ってしまうと、子どもはその期待に応えられない自分を責め、さらに学校に行きづらくなるという悪循環を生みます。 ※本記事は、自らも不登校児の親としてこの問題に対峙し、フリースクールを設立した、ほしな和生氏の著書『子どもが不登校になったら』から一部を抜粋・編集したものです。
不登校児の保護者の悩み「子が家から出ないんです」フリースクール経営者のアドバイス (※画像はイメージです/PIXTA)

[なんとか出そう精神]が露骨な作戦は必ず失敗する

質問2:「子どもが家から外に出ず運動不足になりそうです、どうしたらいいですか?」

 

ある意味子どもがそういうときは、心の充電中です。しばらく家から出なくなるのは、不登校になりたての子どもにとっては必然であり、あまり焦るとよくないですね。心の充電ができてきたら、徐々に変化が訪れるはず。

 

ですので、あまり保護者が、「もっと外に出て運動した方がええんちゃう?」的なことを言うと、確実にうっとうしがられて余計に家から出なくなるのが関の山です。[子どもを家からなんとか出そう精神]見え見えの作戦は、必ず失敗します。

 

うちの子どもも不登校になりたての頃は家から外に一歩も出ませんでした。知ってる人に会いたくない、絶対に。ですので、外出するなら夜中でした。相談には、夜九時から行ったりしていました。その結果、元々の運動嫌いもあって、超運動不足に。で、その結果うちの場合はさっぱり背が伸びませんでした。まあこれは仕方ないです。

 

その後、不登校になって一年ぐらい経ってから、徐々に外出できるようになりました。少しずつ、です。周りが焦ってしまうと、本人が敏感に気づいてしまい、逆効果になりますので、本人が外に出たくないのに無理やり、というのはちょっと避けた方がいいですね。

工夫すれば、家にいながらでも運動をすることができる

そうは言いましても、今は工夫すれば家に居ながらにして、いろいろ運動することができます。某会社の運動しながらできるゲーム機もありますし、今年(2021)はコロナ禍により、YouTubeなどで運動を一緒に教えてくれる動画もたくさん出てきました。

 

楽しみながら運動できますので、「こんなんあるで」と、親御さんが楽しくやっている姿を子どもに見せるのも手だと思います。ただし無理にさせるのではなく、あくまでも子どもがやる気になるのを待ちましょう。

 

「子どもが部屋から出てきません」も、よく聞きます。さすがにトイレには出てくるけれど、風呂にも入らない、部屋から出てみんなとご飯を食べない。

 

この時も無理に部屋から連れ出すのはご法度です。この時の要注意点はただ一つ、[毎日一回以上ちょっとでもご飯を食べているか]。子ども部屋の中ででも、ご飯を毎日食べているようであれば、まあOKです。風呂も、何日かに一回とかで入っていればOK。

 

あまりとやかく言わずに、子どもの心が充電されて満たされるまで、しばらく待ちましょう。

 

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ほしな 和生

大阪府立大学卒業。 某大企業勤務時代に小学校への出前授業を一から企画、教材開発し、講師として教壇に立つ。 延べ1万人の子どもたちに授業を実施。 出前授業は「キッズデザイン賞」、「おおさか環境賞」大賞受賞。 その後独立してフリースクールを立ち上げ、学校に行っていない子どもとその保護者のサポート支援に従事。 趣味はバンド活動、動植物飼育、日本酒、旅行など。