FX取引をしていると、「億万長者になった!」とか「自己破産した!」というような話を耳にする機会も多いですが、実際にトレーダーの数から考えた場合にこのような大儲けや大損するケースというのは稀な例です。ほとんどは少しのプラスやマイナスを繰り返して毎日の投資を繰り返している人たちばかりなので、「億万長者になれると思ってFXを始めたのに、思ったよりも儲からなかった」という思いをしたい人は多いというのが実情です。みていきましょう。
FXトレーダーの多くが「それほど儲けていないし損もしてない」という事実 ※画像はイメージです/PIXTA

レバレッジの倍率によって預けている証拠金以上のマイナスになることがある

FX取引は株式取引とは異なり、投資商品の価値がゼロになるというようなことはほとんどありません。

 

「ほとんど」というと警戒心を煽るような形になってしまうかもしれませんが、「通貨の価値がゼロになる」というのは、簡単に言えば「その国が破綻してしまう」ことになるので、無いと考えても良いでしょう。

 

直近で国が破綻したニュースとしては2009年頃にあった「ギリシャ危機」が挙げられますが、ギリシャの通貨はユーロなのでギリシャの経済が破綻したとしてもユーロの価値がゼロになることはありませんでした。

 

このように、1つの国が破綻しない限り通貨の価値がゼロにならないにも関わらず、「FXで破産した」というニュースが後を絶たないのは何故なのかということについて紹介していきましょう。

 

破産する理由は、ほぼ「レバレッジ」が関係している

上記でも紹介したように、FX取引というのは通常の取引だと投資した金額に対して動く金額が低いので破産するようなことはありません。このようなFX取引で破産者が出てしまう理由となっているのが「レバレッジ」となります。

 

レバレッジというのは、テコの原理とも呼ばれることがありますが簡単に言えば「少ない金額で多くの金額の投資ができる手法」のことを指します。

 

日本ではレバレッジの最大倍率が25倍に設定されていますが、海外のFX業者だと数百倍や1,000倍を超えるレバレッジを設定しているケースもあるので、動く金額が数十倍~1,000倍以上になることもあるということです。

 

上記の例を参考にすると、米ドルを1万通貨分の取引をしようとすると100万円が必要となりますが、レバレッジ25倍で取引をすると4万円で1万通貨分の米ドルを取引することが可能です。動く金額については0.5円で5,000円というのは変わらないので、このケースだと「4万円で5,000円の利益(損失)を得る」という形になります。

 

「100万円の投資で5,000円の利益」と聞くと少ないように感じるかもしれませんが、「4万円で5,000円の利益」と聞くと多いように思えるのではないでしょうか。

 

仮にレバレッジが25倍の状態で100万円分の通貨を購入しようとすると25万通貨分の取引が可能になり、0.5円の変動だったとしても12万5,000円の利益を得ることができます。

逆に相場の予測が外れてしまった場合は12万5,000円分の損失となるので、このような状態になると破産することも考えられるでしょう。

 

「レバレッジ」はハイリスクハイリターンの投資手法

レバレッジは億万長者になるための手法と考えられるかもしれませんが、言い方を変えると破産するための道筋に乗っているとも言えます。

 

FX取引では「損失が大きくなるけど利益が少ない」とか「利益が大きくなるけど損失が少ない」という手法は無く、損失の割合と利益の割合は常にイーブンとなっています。

 

つまりレバレッジの倍率が高ければ高いほど「ハイリスクハイリターンの手法」となるので、FX取引での勝率が低ければその分だけリスクの高い手法だということです。

 

日本のFX会社の中には通常の取引がレバレッジ25倍の状態で行われていることも少なくありません。そうすると何も知らない初心者は「1万通貨分の取引をするのに4万円で良い」というように勘違いしてしまいますので、思ってもいないマイナスを被ってしまうことになります。

 

レバレッジが1倍の状態で取引をするのが最もリスクが低い手法だということを強く認識してください。

安定するためにはできる限り低い倍率のレバレッジで投資をするのがコツ

FX取引で安定した利益を得るためのコツというのは「FXについて知る」ということが第一歩となります。

 

FXで稼げない人の多くは、この第一歩を無視しているケースが多く、FXのことを「ギャンブルだ」とか「運に左右されすぎる」と考えている人が多いのが特徴的です。

 

確かに為替市場という大きな市場で自分が投資をする金額では大きな波を起こすことは難しいでしょう。これは数千万円~数十億円という金額を動かしていたとしても同じことです。世界を見渡せば数千億円~数十兆円という金額を動かしている証券会社や金融機関も珍しくありません。

 

そのため、一般の投資家ができることは「波を起こす」ということではなく「波に乗る」ことで利益を出します。波に乗るためには為替市場のことを知らなければならないので、FXのことをそれほど深く知らない状態で自分にとって大きな金額を投資しても思っていたような結果が得られないのは当然のことです。

 

そのような状態で高い倍率のレバレッジを利用していても安定した利益を得ることは難しいので、勝率が高くなるまではできる限り低いレバレッジで投資をすることをオススメします。

 

まとめ

「FXで億万長者になった」という話は聞く割に、実際にはそのような人は稀でです。また「FXで破産した」という話もよく聞きますが、実際にそのような人もまた稀です。FX初心者は過剰な期待と不安を持っていることも珍しくありませんが、正しく投資をすればそれほど怖いものではありません。

 

株式取引と比較すると投資した金額に対して利益または損失の金額が早いために不安や期待を持っている人が多いですが、慣れるまではデモトレードや低レバレッジで投資をすることでリスクを最低限に抑えることができます。

 

まずはどのような状態になるとプラスになり、どうすればマイナスになるのかということを理解してから始めると良いでしょう。常に情報を収集して分析することがFX取引でマイナスにならないために求められる能力なので、この点を鍛えるようにしたほうが良いです。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員

 

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