高卒と大卒の給与格差、年を取るごとに広がって…
話を最初に戻ると、思春期の子どもへの「大学くらい行っておけ」という親のアドバイス。経験者であれば分かると思いますが、そのような言葉は子どもの琴線に響くことはありません。「なんで?」と子どもに返されたら、「大学に行ったほうが何かと有利なんだよ」くらい、曖昧なことしか言えないからです。
一般的に「大学くらい行っておいたほうがいい」というのは、給与面で大卒のほうが有利ということからでしょう。厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』で、高卒と大卒の給与差がどれほどなのか、みていきます。
まずは高卒の給与は、平均425万6,100円。新卒時242万円3,400万円だった給与は、年齢とともに上昇し、30代後半で400万円台突破。50代後半で494万1,000円とピークに達します。
続いて、大卒の給与。平均給与は585万6,600円。新卒時328万4,200円だった給与は、20代後半で400万円台、30代後半に500万円台、40代前半に600万円台、40代後半に700万円台と上昇し、50代前半で823万8,100円に達します。
【高卒会社員の年収の推移】
「~19歳」242万3,400円円
「20~24歳」311万1,800円
「25~29歳」351万3,900円
「30~34歳」388万0,100円
「35~39歳」424万4,100円
「40~44歳」459万5,400円
「45~49歳」487万0,800円
「50~54歳」488万9,100円
「55~59歳」494万1,000円
「60~64歳」367万1,300円
【大卒会社員の年収の推移】
「20~24歳」328万4,200円
「25~29歳」422万4,000円
「30~34歳」495万4,300円
「35~39歳」572万2,400円
「40~44歳」640万8,700円
「45~49歳」713万6,200円
「50~54歳」823万8,100円
「55~59歳」799万7,600円
「60~64歳」557万5,800円
出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より
※数値は男女計
高卒と大卒の給与差は、20代前半で17万2400円程度でしたが、年齢とともに拡大。30代前半で107万7,200円、40代後半で226万5,400円。そして50代前半で334万9,000円にも達します。双方、65歳で定年を迎えたとすると、生涯給与換算で、9,000万円近い格差が生じることになります。
もちろん、これはあくまでも平均値による仮説。高卒であっても高給取りの人はいますし、大卒でも低賃金で嘆いている人はいます。ただ統計上、「大卒のほうが生涯賃金ははるかに高い」というのは事実です。これらをもって「大学には行ったほうがいい。1億円近くも給与格差があるのだから」と子どもに言ってみましょう。それでも「大学に行かない」と言うならば……どうするかは親次第です。