この結果をみて「会社規模は大きいところのほうがいいかな」くらいに思っている大卒予定者もいるかもしれません。そのうえで、明確に「この職業に就きたい」とか「この業種がいい」などと考えずに、「何となくこの職業」「何となくこの業界」と決めている人も。しかし「この業界はやめておけ」と言ってあげたい、という社会人の先輩も多いでしょう。
同調査で業種別(図表)に平均給与をみていくと、最も平均給与が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で714万7,000円。「金融業、保険業」「情報通信業」と続きます。
一方で、「不動産業、物品賃貸業」、「医療、福祉」、「卸売業」、「サービス業」、「「農林水産・鉱業」、「宿泊業、飲食サービス業」は、業界平均給与が会社員の平均給与以下になります。
【業種別「会社員の平均給与」】
「電気・ガス・熱供給・水道業」714万7,000円
「金融業、保険業」629万7,000円
「情報通信業」611万1,000円
「建設業」509万0,000円
「学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業」502万9,000円
「製造業」501万4,000円
「複合サービス事業」451万8,000円
「運輸業、郵便業」444万3,000円
「不動産業、物品賃貸業」423万4,000円
「医療、福祉」396万8,000円
「卸売業」372万2,000円
「サービス業」352万5,000円
「農林水産・鉱業」299万9,000円
「宿泊業、飲食サービス業」251万3,000円
国税庁『令和2年民間給与実態統計調査』
最も平均給与の高い「電気・ガス・熱供給・水道業」と、最も平均給与の低い「宿泊業、飲食サービス業」の給与差は460万円以上。生涯給与に換算すると、単純計算ですが、2億円もの格差になります。なんとなくで決めた仕事で、これほど給与差がつくこと、大卒予定者は想像つくでしょうか。
もちろん「やりがい」は給与だけではありませんし、お金では得られないものもたくさんあります。しかし「なんとなく……」で業種を選んでいるのであれば、この現実をしっかりみておいたほうが後悔は少ないといえそうです。