2020年の非正規雇用は10年前の2.5倍となりました。雇用問題から派生する中高年のひきこもりという深刻な問題は、もはや他人事ではありません。ここではひきこもりの方たちの経済状態と、社会福祉体制の実態について、臨床心理士の桝田智彦氏が解説していきます。 ※本連載は、書籍『中高年がひきこもる理由』(青春出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。
親の年金で暮らす「中高年のひきこもり」生活保護を受け取ろうにも…“あまりにつらい”実態 ※画像はイメージです/PIXTA

役所での「水際作戦」、「受給打ち切り」の実態

「水際作戦」は日本軍の作戦用語でした。上陸してくる敵を水際で撃滅させ、上陸させない作戦を指します。つまり、生活保護の申請者を、上陸を試みる敵とみなして、行政の窓口という水際で返り討ちにしようというわけです。

 

人格を否定するような屈辱的な暴言を吐いたり、小さなミスをあげつらって申請書を受けとらなかったり、そもそも申請のための書類を渡さなかったり、生活保護を受ける資格がないなどとウソをついたり……。そういった水際作戦があちこちの役所で展開されていると聞きます。

 

また、水際作戦だけではなく、生活保護を今、受けとっている人たちの受給打ち切りも増えています。

 

 

桝田智彦

臨床心理士/一般社団法人SCSカウンセリング研究所 副代表