こどもの「朝起きられない」問題…甘えではなく、病気の可能性 (※写真はイメージです/PIXTA)

小児科医の米田真紀子氏によると、朝になっても布団から出られない、起こしても全然起きてこない、朝から元気がでず登校できない、というこどもが増えているといいます。他の人が見ると、つい「甘えているだけじゃないか」と思ってしまいますが、実はこうした症状のこどもは「起立性調節障害」という病気の可能性があります。「起立性調節障害」との向き合い方、対処法を見ていきましょう。

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朝起きられない…起立性調節障害とは

起立性調節障害は、Orthostatic Dysregulationを略してODとも呼ばれますが、思春期前後の小児に多く見られる病気で、中学生の約1割に認めるとも言われています。

 

起立性調節障害の症状は午前中に強く、午後から回復していくという特徴があります。午前中、特に寝起きに倦怠感(だるさ)などの症状が強く、頭痛やめまいを伴ったり、ひどいときには立ち上がることすら困難になることもあります。

 

また、急に立ったり、ずっと立っているとめまいを引き起こしたり、気分が悪くて倒れてしまうこともあります。午後からは症状がいくぶん回復することが多く、夜にかけて元気になり、目がさえて眠れなくなってしまうこともよくあります。

 

その結果、さらに朝の症状がきつくなっていくという悪循環に陥ります。起立性調節障害の原因は色々ありますが、思春期前後の体の中の急激な変化に体が対応しきれないこと、そこにさらに日常生活での精神的ストレスがかかってしまうことで悪化します。

 

主に自律神経のバランスが悪くなることで、全身への血流を適切に回すことができなくなった結果、血圧が不安定になり、頭痛・めまいや倦怠感の症状となって現われます。

 

さらに、熱があるわけでもなく、血液検査や画像検査などで明らかな異常があるわけでもないため、周りから仮病と思われたり、症状自体を否定されたりすることも少なくありません。

 

不登校が続くようになれば家族を含め対人関係もより難しくなっていきますし、学業的な不安も増えていってしまうために、ますますストレスが大きくなり、どんどん症状が進んでいってしまうこともあります。

起立性調節障害はどうすれば治るのか

起立性調節障害の症状を和らげる内服治療はいくつかありますが、短期間で完治したり、目に見えて効果が出るものはありません。

 

病態には様々な原因が絡み合っていて、どれか一つを改善すればすぐによくなるわけではないのです。症状が回復して日常生活が問題なく送れるようになるまでには、軽症例で数か月、中等症・重症例では2年から3年以上かかると考えたほうがよいでしょう。

 

その中でも症状に波はありますし、逆に言えば数年すれば少なくとも症状は必ず改善する、という希望をもって、親子共々長い目で対応していくことが重要だと言えます。

起立性調節障害が疑われたら

上記の症状に当てはまる場合は、一度きちんと小児科を受診し、他の病気を除外した上で、診断を付けてもらいましょう。

 

小児科では、まずは他に同様の症状を示す病気を否定することから始めます。脳の画像検査をしたり、血液検査をしたりします。そして、体位の変換に自律神経が適切に対応できているかを確認するために、寝たり立ったりして血圧を測る検査を行います。

 

さらには就寝時間、運動の有無など、生活習慣についても悪化要因がないかどうか探っていきます。

 

診断を付けてもらうことで、こども自身も仮病と疑われたり叱咤されなくて済むようになり、他の病気も否定されるので少し安心します。

家庭でできる「4つ」の対処法

自律神経そのものに作用するような対処法はありませんが、症状を改善する可能性がある対処はいくつかあります。

1.水分・塩分を多めにとること

血圧が安定しない原因は、そもそもの血液量が少ないことが関係している可能性も。水分を多目にとるだけでなく、やや濃い目の味付けで塩分をしっかりとることにより、血管の中に水分をしっかり保持することができます。

2.体位変換時に注意すること

朝目覚めてから、急激に立ち上がると症状が悪化します。少しずつ体を慣らすように、ゆっくりと立ち上がったり、頭を急に上げないなどの工夫をしてみるのもひとつの方法です。

3.生活は規則正しく

朝起きられなくて学校に行けなくても、毎日必ず決まった時間には一度起きて、朝日を浴びるようにしましょう。就寝前にはスマホ・タブレットは厳禁です。

 

また、適度な運動は必須なので、楽になる時間帯に散歩するなど工夫して体を動かしましょう。

4.周囲の理解をすすめる

親から見てもつい「甘えじゃないか」と疑ってしまうこの病気。他の家族や祖父母からの圧力がある場合もありますし、先生や友達の理解が得られにくいこともあります。

 

決して「根性」だけでどうにかなるものではないこと、そして何より「一番苦しんでいるのは本人であること」を周りが理解してあげることが大切です。

 

コロナ禍において、社会の中でこどものストレスは明らかに増大しています。起立性調節障害の症状は、こどものSOSサインとも言えるので、こどもの訴えにしっかり耳を傾け、一緒に向き合っていくことが何より重要だと言えます。

 

 

米田 真紀子

小児科医

医療法人 啓信会きづ川クリニック

 

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医療法人 啓信会きづ川クリニック 小児科医

日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
1981年生まれ。平成19年滋賀医科大学医学部卒。同年4月より滋賀医科大学付属病院にて初期研修の後、同大学小児科学教室入局。平成23年より済生会滋賀県病院勤務の後、平成27年より京都きづ川病院勤務。
その間、3人の子供に恵まれ、育休・産休を取得しつつ、現在はその経験を生かして、患者とその家族の心に寄り添う診療を心がけている。一般診療から小児救急、新生児領域まで幅広い経験を有する。

著者紹介

連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法

※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『こどもKARADAs』から転載したものです。

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