新型コロナウイルス感染症の新規感染者は減少傾向にあり、明るい兆しが見えてきましたが、私たちの生活は厳しさを増すばかり。そのような苦しい状況では、安定志向の公務員に羨望の眼差しが向けられます。そのなかでもエリートのイメージが強い国家公務員は、どれほどの給与を手にしているのでしょうか。人事院による最新調査から紐解いていきます。
大卒会社員の平均給与585万円…羨ましい「国家公務員の給与額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

国家公務員の平均給与…民間企業で例えると大企業並み

国家公務員試験の倍率はおよそ20倍。狭き門をくぐりぬけ、晴れて国家公務員になっても、決して民間企業より高い給与を手にしているわけではありません。というのも、国家公務員の給与(俸給)は、「民間準拠」が原則。同じ条件(仕事の種類、役職段階、 学歴、年齢等)にある者同士の官民の給与を比較したうえで月額給与は決められ、そこに諸手当がプラスされます。俸給表は「行政職」「公安職」「海事職」「教育職」「医療職」など職種で分かれ、さらに級数(=役職)や号数(勤続年数や年齢を反映したもの)で金額が決まります。

 

人事院『令和3年国家公務員給与等実態調査』によると、職員25万3,000人の平均給与(平均年齢42.7歳、平均経験年数20.9年)は、基本給33万6,333円、諸手当を入れて41万4,729円。そこに夏冬4.5ヵ月分の賞与プラスされます。単純計算、年収649万0,247円。これが国家公務員の平均像です(関連記事:『【最新調査】国家公務員の平均月収、推定年収』)。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』から算出した、大卒会社員(従業員10人以上規模、平均年齢40.9歳、平均勤続年数11.6年)の平均年収は585万7,000円。さらに、従業員数1,000以上企業の大卒会社員(平均年齢40.3歳、平均勤続年数13.0歳)は659万8,000円。国家公務員を民間企業に例えると、大企業勤務の会社員と同程度とイメージできるでしょう。

 

日本の会社員の半数以上が、中小企業勤務ですから、「やっぱり公務員は羨ましい」と思うでしょうか。

 

ただし前出の同調査によると、大卒会社員(従業員10人以上規模企業勤務)の平均年収は年齢とともに上がり、40代前半で640万9,000円、50代前半でピークを迎え823万8,000円に達します。公務員は、というとそこまであがることはありません。また民間企業の場合、会社によって成果次第で年収数千万円の高給取りを目指すことも可能ですが、公務員の場合は不可能です。

 

また国家公務員の給与は、前出のとおり民間準拠。企業規模でいうと「大企業相当の給与」ではありますが、「30年間、給与が上がらない」という思いは同じ、というわけです。