国家公務員の初任給…モデルケースでは民間企業よりも安い
衆議院選の最大の争点になっている「分配政策」。財源については具体的に語らず、ばらまき合戦は過熱の一途を辿っています。それに対して有権者は「どうせ票を取りたいがためのパフォーマンス」と、どこか冷めた目で見ているようです。
なぜここまで分配、分配というのかというと、「給与に不満をもっている会社員が多いから」といえるでしょう。
国税庁『民間給与実態統計調査』によると、2020年、会社員の平均給与は433万円。そしてその推移を見ていくと、1990年初頭と同水準。会社員は30年間、「給与が上がらない」と嘆いていたわけです。そこに「所得倍増」「富の分配」と、甘い言葉をささやいているわけです。
選挙戦はさておき、このような厳しい情勢のなかでは「民間企業はつらい、公務員がうらやましい」という言葉があふれます。「公務員の給与は安定している」「公務員なら業績に左右されることはない」そんな想いからなのでしょう。
現在、約333.1万人の公務員のうち、国家公務員は17.7%にあたる約58.8万人。その内訳は、「特別職(大臣や大臣政務官、裁判官、国会議員、防衛省職員など)」の約29.8万人と、「一般職」約29.0万人に大きく2分されます。さらに「一般職」約28万人を占めるのが「給与法適用職員(=一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)の適用を受ける職員)」。この約28万人の人たちが、多くの人がイメージする「国家公務員」だと考えていいでしょう。
人事院のホームページで紹介されている、国家公務員の勤務条件は以下の通り。給与のモデルケースでは、基本給は大卒で21万円強、大卒で18万円強。民間企業よりは安い印象です。
【勤務時間・休暇等】
国家公務員の勤務時間は原則として、1日7時間45分で、土曜日、日曜日及び祝日等の休日は休みです。
休暇には、年20日の年次休暇(4月1日採用の場合、採用の年は15日)のほか、病気休暇、特別休暇(夏季、結婚、出産、忌引、ボランティア等)及び介護休暇があります。
また、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭生活の両立)支援制度として、育児休業制度等があります。
【給与】
国家公務員の給与は、民間企業の基本給に相当する俸給と、地域手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)などの手当からなっています。
※モデルケース
■総合職試験(政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする係員の採用試験で採用された場合)の例
総合職試験(院卒者試験)の場合(行政職俸給表(一)2級11号の場合)
俸給213,000円、本府省業務調整手当8,800円、地域手当42,600円 合計 264,400円
総合職試験(大卒程度試験)の場合(行政職俸給表(一)2級1号俸の場合)
俸給186,700円、本府省業務調整手当8,800円、地域手当37,340円 合計 232,840円
出所:人事院ホームページより