(※写真はイメージです/PIXTA)

加齢とともに慢性的な関節の痛みを訴える人が多くなっています。特に、変形性ひざ関節症の痛みについては、放置すると痛みが増すことにより、QOL(生活の質)は大きく低下しています。今回は、イタリアの名門サッカークラブ「ACミラン」に医師として留学した経験もある、整形外科医の齋田良知先生が、関節痛に効果がある新たな治療法について解説します。

PFC−FD療法の効果をさらに高めた「VFD療法」

そして、順天堂大学の研究講座と細胞を精製している企業との共同研究によりPFC-FD療法の効果を更に高めることができました。その治療法がVFD療法(※)です。

(※):VFD=Valuable Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dry

 

VFD療法は、成長因子をより高濃度に濃縮することに成功したため、従来の治療法に比べて、組織修復作用も抗炎症作用も格段に高まっています。

 

また、PFC-FD療法同様に高濃縮した成長因子をフリーズドライしているため、事前に血液を採取して精製しておけば、痛みが出たり傷を負った際にすぐに治療できるというメリットは当然そのままです。現在、順天堂大学病院関連施設を中心とした、ごく限られた医療機関(※)でのみ治療を受けることができます。

(※)国内6施設2021年11月1日現在

PFC-FD療法・VFD療法…診断から治療後の経過まで

これらの療法は、もともとスポーツ選手や一流アスリートへの治療法として始まりましたが、現在では多くの方が受診しています。

 

例えば、変形性ひざ関節炎によるひざの痛みで悩んでいる人には適応です。また、ゴルフやテニスなどによる肘関節、股関節、肩関節などの他、靭帯損傷や腱炎(けんえん)などにも適用可能です。

 

初回受診では関節の状態、痛みの強さなどを医師に伝えます。そこでVFD療法について詳しく話を聞いたあと、40mLほどの採血を行い、専門の加工受託施設で血小板の活性化、成長因子の抽出などを経て粉末状のVFDを得ることができます。

 

VFD療法では、1回の採血で部位により3回(~6回)分注射することができます。ひざの場合、採血から約1ヵ月後の受診時に1回目のVFD療法を行い、その経過を見ながらさらに追加で2回のVFDを行うことが可能です。

 

VFD療法は自己血を使った副作用の少ない安全・安心な治療法です。

 

治療後の経過は、関節の変形の状態によって個人差がありますが、約6割の人が関節の痛みから解放されています。ただし、通常の痛み止めとは異なるため、注射後3~7日程度は関節の腫れや痛みが出ることがありますが、その後軽快します。

 

 

齋田 良知

医師

順天堂大学スポーツ医学・再生医療講座 特任教授/東京国際クリニック・整形外科医/いわきFCチームドクター

 

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。