給与はなかなか増えず、それに伴い、貯蓄もうまく進まない……。そのようななか、多くの人が老後に不安を抱えています。その要因のひとつが「お金はいくら必要か」という悩み。いったい、いくつ年を重ねれば、お金の心配などしなくてもよくなるのでしょうか?
90歳でも「お金の不安」から解放されず…日本の高齢者の切ない現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

「何歳まで生きたいですか?」の問いに高齢者は…

何歳まで生きられるか? 明確な答えは誰も教えてくれないので、老後の備えはやっかいです。期限が決まっていれば、そこから逆算して備えればいいですが、そういうわけにはいきません。

 

公益財団法人生命保険文化センター『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』*で高齢者に「何歳まで生きたいと思うか」と尋ねたところ、「80歳代」という回答が最も多く、53.9%。続いて「90歳代」が30.6%と、多くが長寿を望んでいることが分かります。

 

*全国の60歳以上の男女を対象とした個人調査

 

【高齢者に聞いた「何歳まで生きたいと思うか?」】

「69歳以下」0.3

「70歳代」6.2%

「80歳代」53.9%

「90歳代」30.6%

「100歳以上」6.0%

 

出所:公益財団法人生命保険文化センター『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』(2021年6月発行)

 

また本人の収入別に見ていくと、収入が増えていくと「80歳代」の回答が増えていき、また「2000万円以上」の回答者は「90歳代」の回答が46.2%と「80歳代」の回答を逆転。これは「お金があるほうが生に対して貪欲になる」というよりも、「生きるためにはお金が必要」ということの裏返しかもしれません(図表1)

 

[図表1]高齢者「何歳まで生きたいか?」年齢別分布

 

さらに「長寿社会において最も不安なことはなにか?」と尋ねたところ、「経済面(生活資金の不足等)」の回答が16.9%。高齢者の6人に1人が老後資金に不安を抱いています。

 

年齢別に見ていくと、60代が20%を超える高水準。現役を引退し年金生活に突入。足りない部分は貯蓄に頼る。なかにはまだ住宅ローンが残っている、というような人もいるでしょう。将来に対して、経済面で不安になるのも仕方がない年齢かもしれません。そんな不安は年を重ねるごとに減少傾向にありますが、90歳以上の高齢者でも10人に1人は経済面で不安があるというのは、なんとも切ない事実です。

 

【高齢者に聞いた…長寿社会に対し「経済面(生活資金の不足等)」と回答した割合】

「60~64歳代」21.5%

「65~69歳代」22.4%

「70~74歳代」15.9%

「75~79歳代」14.3%

「80~84歳代」12.8%

「85~89歳代」8.3%

「90歳以上」10.9%

 

出所:公益財団法人生命保険文化センター『ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査』(2021年6月発行)