年収1000万円。会社員であれば、1ワンランク上のステージと、憧れをもって語られることも多いですが、現実は厳しいものがあります。高給取りの実際を見ていきましょう。
年収1,000万円以上稼いでも生活苦…日本の会社員、厳し過ぎる現実 ※画像はイメージです/PIXTA

年収1,000万円…思った以上に手取り額は少ない

会社員であれば憧れる1000万円プレイヤー。初任給もらいたての新人であれば、「いったいどれほど裕福な暮らしができるのだろう」などと思い描いてことでしょう。急に年収が1000万円になったら、贅沢三昧で散財をするかもしれません。ただ1000万円プレイヤーであれば優雅な暮らしができるというのは幻想にすぎないことを早々に知ることになるでしょう。

 

会社員であれば、実際に振り込まれた給与をみてため息をついた経験があるはず。給料からは「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」、「介護保険料」(40歳以上)が天引きされます。

 

さらに非課税となる諸手当を除いた部分にかかる「所得税」。そして住んでいる都道府県、市区町村に納める「住民税」も天引きされます。

 

所得税の税率は、年収330万円から694万9000円は20%、年収695万円~899万9000円では23%。しかし、900万~1799万円だと33%に一気に跳ね上がります。さらに1800万~3999万9000円では40%、4000万円以上では45%に。

 

このように保険料に税金にと天引きされて、年収1000万円であれば、おおよそ月の手取り額は48万円程度で、1年だと720万円ほどになります。これで独り暮らしであれば、ある程度自由な暮らしができるかもしれませんが、所帯があればそうはいきません。

 

総務省『家計調査家計収支編』2020年によると、家族4人年収1000万円世帯の月の消費支出は平均34万2284円。残る月14万円のほとんどは、家族の将来のために貯蓄にまわされるでしょう。

 

文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』『私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』によると、大学の初年度納入金は、国立大学で81万7800円、私立大学文系で116万5300円、私立大学理系で154万900円、私立大学歯科で428万9200円、私立大学医系で504万3200円。 国立大学でいえば、初年度納入金のうち授業料は53万5800円ですから、これから数年、この程度の学費が必要になります。

 

子どもの大学入学のためには、塾通いも必須でしょう。自身の子どもには、できるだけ良い教育を受けさせたい…親の愛情は天井知らず。それに伴う出費も天知らずです。

 

教育費だけとっても、年収1000万円では優雅な暮らしはできません。しっかりと家計管理をしてコツコツと資産形成をしていかないと、いつ破綻してもおかしくない……それが1000万円プレイヤーの現実です。