日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回焦点をあてるのは「管理職の給与事情」。給与アップが難しい時代、少しでも手取りを増やすためには、昇給を目指すのもひとつの手。果たして管理職は重責にふさわしい待遇なのでしょうか。
「昇給なし」の管理職、「給与カット」の平社員…虚しい会社員の現実 ※画像はイメージです/PIXTA

給与が上がらない時代…昇進すると、いくら給料は増える?

――給与があがらない

 

会社員であれば、耳が痛くなるくらい聞いた話でしょう。これは統計からも明らか。国税庁『民間給与実態統計調査』によると、令和元年、2019年の会社員(給与所得者)の平均年収は436万円。対して、会社員の平均年収が436万円を超えたのは、1990年代前半(1990年425万2000円、1991年446万6000円)。つまり日本人の会社員の給与は、30年前に逆戻りという事態に陥っているわけです。

 

給与があがらないなか、するべきことは何かと問われたら、選択肢は大きく2つ。手取りを増やすため行動をするか、今ある資産を増やすか(もちろん、2つとも実践してもいい)。前者を選択し、いまいる会社で給与アップを目指すとなると、手っ取り早いのが昇進して手取りを増やすということ。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、役職なしの会社員(平均年齢40.7歳)の平均月給(所定内給与額:所定労働時間を勤務した場合に通常支給される月々の賃金で、基本給のほか職務手当、家族手当、通勤手当等の諸手当を含む)は27万8400円。それに対して係長(平均年齢45.0歳)は37万1900円と、約9万円、手取りで6万円ほどの昇給となります。

 

さらに昇進して課長(平均年齢48.6歳)になったとしましょう。課長の平均月給は49万2200円。係長と比べ、額面で12万円、手取りで8万円ほどの昇給となります。さらに昇進して部長(平均年齢52.8歳)になったとすると、平均月給は59万4400円。課長と比べ、額面で10万円、手取りで6万円ほどの昇給となります。

 

こうして見ていくと、役職なしの会社員と役職・部長には、30万円を超える給与差があります。年収にすれば、単純計算で360万円以上の差、賞与も加わるとなると、さらに役職格差は大きくなります。

 

――同じ年齢なのに、あいつは部長で、自分は平社員

 

そんな嘆きにも同情してしまうほどの差。しかし昇進でそれだけ給与アップが目指せるのであれば、仕事にもやる気が出る、という人も多いのではないでしょうか。