「給与減」を言い渡された管理職と平社員…どちらが多い?
課長や部長へ、羨望の眼差しが向けられたところですが、当の本人たちからは嘆きも多く聞かれてきます。
――管理職は大変なんだよ
前出の同調査によると、たとえば部長の月給の中央値は59万0043円。中央値ですから、部長のちょうど中間。それよりも上の人もいれば、下の人も当然いるわけです。部長という肩書がありながら、月給20万円未満という人は4.5%、月給30万円未満という人を含めると7.1%。部長という重責を背負っていながら、給料は平社員並みという人も珍しくないのです。
【部長の月給分布】
20万円未満:4.5%
20万~30万円未満:2.6%
30万~40万円未満:8.2%
40万~50万円未満:17.2%
50万~60万円未満:23.0%
60万~70万円未満:17.1%
70万~80万円未満:11.8%
80万~90万円未満:6.8%
90万~100万円未満:3.5%
100万~120万円未満:4.2%
120万円以上:5.1%
厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より
※金額は所定内給与額
さらに管理職の厳しさは、コロナ不況のような不景気の時こそ顕著になります。民間企業(労働組合のない企業を含む)における賃金や賞与の改定額、改定率、 賃金・賞与の改定方法、改定に至るまでの経緯等を把握することを目的とした、厚生労働省『令和2年賃金引上げ等の実態に関する調査』によると、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は2.1%。コロナ不況のもとでも、給与水準を維持している企業が大多数です。
そのようななか、定期昇給制度がありながらも定昇が行われなかったのが、管理職で8.8%、一般職で5.9%。管理職のほうが「給与があがらない!」という事実に直面しています。
――管理職は冷遇されている
――昇進するのはリスクだ
そう考える人もいるかもしれません。しかし同調査にはさらに続きがあります。賃金の改定を実施、または予定していて額も決定している企業のうち「賃金カットを実施、または予定している企業」の割合は10.9%で、対象者は「管理職のみ」が30.9%、「一般職のみ」は35.0%、「管理職と一般職」は33.4%。給与減の憂き目にあっているのは、管理職よりも肩書なしの会社員です。
もちろん、会社によって制度や考え方は異なるので、管理職がよいのか、それとも平社員がいいのか、一概にいうことはできません。ただどのような肩書であれいえることは、「日本の会社員の給与は、30年前と同じ水準」という、何ともやり切れない事実です。