投資にメリットだけはなし…「デイトレード×空売り」の「落とし穴」
以上のように、デイトレードと空売りという組み合わせには、いくつか有利な点があると考えられます。
しかし、気をつけるべき「落とし穴」もあります。
まず、「デイトレードでは株価上昇幅も小さいため、空売りのリスクを抑制できる」という点ですが、それでも時として、ある銘柄がたった1日で大幅に上昇することはあります。取引所の値幅制限によりその上昇幅は最大50%に抑えられていますが、それでも50%は上昇してしまう可能性があることを、心に留めておいた方がよいでしょう。
また、「デイトレードでは空売りの経費を極力抑えることができる」という点ですが、それも、ゼロになるわけではありません。やはり現物取引と比べて余分な経費はかかるのです。そしてデイトレードの場合は、売買回数が大きくなるため、単純な売買手数料も大きくなりがちです。ですから、これらの経費の総額も、きちんと計算しておいた方がよいのです。
それから、「買いによる利益を出しにくい日でも、空売りによって、利益を出すための選択肢を増やせる」という点にも、注意が必要です。「休むも相場なり」という格言がありますが、むやみな取引が結局、損失を招くこともあるのです。空売りという手法があればそれを使いたくなるのも人間心理でしょうが、それでも下がる株を買えなければ、利益は出ないのです。したがって、下がる確率が高い株を見つけられない日には、むやみな空売りを控えることも大切なのです。
■まとめ
「落とし穴」に気をつけながら、デイトレードに空売りを組み合わせるのも1つの手
デイトレードとは、1日のうちに買いと売りを終了させる売買手法です。空売りとは株を借りて売ることで、買った価格より安い価格で株を買い戻して返済することにより、利益を出すことができます。
この2つを組み合わせることには、「デイトレードでは株価上昇幅も小さいため、空売りのリスクを抑制できる」「デイトレードでは空売りの経費を極力抑えることができる」「買いによる利益を出しにくい日でも、空売りによって、利益を出すための選択肢を増やせる」という有利な点があると考えられます。
しかし、それぞれの点には「落とし穴」もあります。ですから、そこに気をつけながらでしたら、デイトレードに空売りを組み合わせるのも1つの手となるでしょう。
株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
川合 一啓