日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は厚生労働省『人口動態調査』などから「感染症」の状況をみていきましょう。
死亡数、1万人の大台を超える…都道府県「感染症死亡数」最新調査 ※画像はイメージです/PIXTA

2020年「感染症による死亡者」は1万人超え

新型コロナウイルス感染症ばかりがクローズアップされますが、そもそも感染症は身近なもの。例年であればウイルス性胃腸炎であるノロウイルス感染症は11~3月、ウイルス性胃腸炎のロタウイルス感染症は3~5月、通常のインフルエンザは12~3月、夏風邪といわれる手足口病や咽頭結膜炎(プール熱)などは6~9月ごろに流行します。

 

厚生労働省では、感染症法に基づき収集した患者の発生状況を、週1回、週報として報告していますが、記事作成時の最新版である『2021年35週(08月30日~09月05日)』を見てみると、この週、「結核」が213件、「梅毒」が102件、「腸管出血性大腸菌感染症」が73件、「レジオネラ症」が45件、「カルバペネム耐性腸内細菌感染症」が40件など、多くの報告がありました。

 

「結核」というと過去の病気というイメージが強いかもしれませんが、前述の週では「東京都」で36件、「千葉県」「愛知県」で18件、「神奈川県」で14件、「福岡県」で13件など、36の都道府県で確認され、今年に入り、1万0390件の報告がありました。決して過去の疾病ではないのです。

 

また厚生労働省『2020年 人口動態調査』によると、昨年、34の感染症で10138人が死亡。そのうち34%にあたる3466人は、「新型コロナウイルス感染症」によるもの。続くのが「感染性胃腸炎」で全体の21%にあたる2132人が亡くなりました。「結核」による死亡は3番目に多く、全体の18%にあたる1909人でした。

 

【「感染症による死亡数」ワースト10】

1位「新型コロナウイルス感染症」3466人

2位「感染性胃腸炎」2132人

3位「結核」1909人

4位「インフルエンザ*1」956人

5位「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症」536人

6位「クロイツフェルト・ヤコブ病」314人

7位「急性ウイルス性肝炎*2」190人

8位「細菌性髄膜炎*3」156人

9位「急性脳炎*4」82人

10位「レジオネラ症」75人

 

出所:厚生労働省『2020年 人口動態調査』より

*1 鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く

*2 E型肝炎及びA型肝炎を除く

*3 侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症を除く

*4 ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く

 

さらに一昨年の2019年、感染症による死亡数は9649人。新型コロナウイルス感染症の拡大により、105%増となりました。一方で、季節性のインフルエンザによる死亡数は2019年3575人から、2020年は956人と、約4分の1でした。