日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は貯蓄額から負債額を引いた「純資産額」に焦点をあてていきます。
平均537万円…「日本人の純貯蓄額」他人事ではない「余裕のなさ」 ※画像はイメージです/PIXTA

1人当たりの金融資産1000万円…世帯ごとに見ていくと

日本銀行『4~6月期 資金循環統計』によると、家計が保有する金融資産残高は6月末時点で1992兆円で前年同時期に比べて6.3%増加。現預金の増加、株高による株式等の残高増加が主要因で、過去最高値となりました。日本の人口は1億2000万人ほどですから、1人あたり1000万円ほどの資産を持っている計算になります。

 

――どこにそんなお金が……

 

そう思った人も少なくないはず。あまりに現実感がなく、他人事のように感じた人も多いでしょう。では実際にどれくらいの資産を持っているものなのでしょうか。総務省『家計調査 貯蓄・負債編 2020年』で見ていきましょう。

 

二人以上の勤労世帯(平均有業人員数1.79人、世帯主の平均年齢49.7歳)の「平均貯蓄額」は1378万円。その内訳を見てみると、「預貯金」が過半数を占め、「保険」が3割ほど。「有価証券」は1割ほどと推測されます。

 

また「預貯金」のうち、銀行利用(預金)が77.3%、郵便貯金の利用は22.7%となっています。さらに「有価証券」のうち、「株式・投資信託」は134万円と8割を超えているものと思われ、「債券」は20万円と10%強となっています。

 

【勤労世帯の「貯蓄額」の内訳】

平均貯蓄額…1378万円

「普通の預貯金」472万円

「定期の預貯金」393万円

「生命保険」305万円

「有価証券」159万円

「金融機関外の資産」48万円

 

出所:総務省『家計調査 貯蓄・負債編 2020年』より作成

 

一方、平均負債額は851万円。その内訳を見てみると9割以上が「住宅・土地のための負債」。そのうち8割以上が民間機関からの借入を行っています。また主にクレジットカード利用によるものと思われる「月賦・年賦」は平均23万円となっています。

 

【勤労世帯の「負債額」の内訳】

平均負債額…851万円

「住宅・土地のための負債」791万円

「住宅・土地以外の負債」37万円

「月賦・年賦」23万円

 

出所:総務省『家計調査 貯蓄・負債編 2020年』より

 

貯蓄額の平均1378万円、負債額が平均851万円。貯蓄額から負債額を引いた純貯蓄額は、単純計算、527万円ほどと推測されます。