売買したときも注意が必要
不動産を売買したときも注意が必要です。
売買代金の支払を受けた者が法人や事業者であればその支払調書が、その売買を斡旋した不動産仲介会社側にも支払調書の提出が義務づけられているので税務署が捕捉しやすい情報となっています。
また、税務署は法務局より不動産の登記情報を得て、それを国税のシステムに取り込んでいます。それにより不動産の所有権移動情報を常に把握し、そこから申告の情報と照合し不自然な点があれば容易に調査に移行します。不動産の譲渡に関しては、税務署の個人税務部門ではなく、より厳しい調査になることが予想される資産税部門の調査官が相手となるので、納税者としてはより不利な状況となっています。
雑費はいくらまで計上できるか?
「雑費」はいくらまで計上できますかという質問を多くいただきます。「投資用不動産を購入した会社からは『一部屋あたり20万円くらいまでなら大丈夫』などと聞くのですが本当でしょうか」などということをよく尋ねられますが、まったくの間違いです。実際に不動産所得に関連がある経費で、家事関連費の場合合理的な按分がされている等の要件にあてはまれば経費計上できますし、そうでなければいくらであっても計上できません。
そもそも税務署の考えでは不動産所得は事業所得と違って、減価償却費や租税公課、借入金利子、損害保険料などの経費以外のものが発生するとはあまり想定されていません。そのため雑費という扱いになっているのですが、ここが多額になるとどうしても目立ってしまいます。
不動産所得に関係がある雑費が多くなってしまった場合、収支内訳書や青色申告決算書の特殊事情記入欄に、細かい内訳や雑費が多額になってしまった理由を記載しておけば、税務署からの追求はある程度軽くなるかと思われます。
中山 慎吾
トランス税理士法人 代表税理士