なぜ「得意」を伸ばすだけで…?天才たちの子ども時代を考える
「得意分野を伸ばすと、苦手分野も伸びていく」ケースは、土地の耕作にたとえるとわかりやすいかもしれません。
ここに「肥沃な土地」と「不毛な土地」があるとしましょう。
Aさんは、まず収穫量が少ない不毛な土地を改良しようと考えます。時間と労力がかかり過ぎるので、肥沃な土地はしばらく放っておきます。
すると、がんばったわりに、不毛な土地にはいつまでたっても作物が実る様子はありません。いっぽう放置された肥沃な土地は、いつのまにか枯れ果てて、作物がとれなくなってしまいました。
Bさんは、肥沃な土地に、より時間と労力をかけてもっと収穫量を増やそうと考えました。
すると、肥沃な土地の収穫量は増大し、不毛だった土地を改良する余裕すら出てきます。肥沃な土地はもともとの土壌が豊かなため、さらに手をかけることで、飛躍的に収穫量が増えるのです。そして余裕ができたので、不毛な土地にだって、これから手がまわせそうです。
あなたなら、AさんとBさん、どちらのやり方を選ぶでしょう?
Bさんのように、凹んだところをいじらず、秀でたところをまず伸ばすことができれば、成功が手に入るのです。
子どもは、そもそも未熟で不出来で、凸凹だらけ。それぞれ性格も才能も違う、固有の個性を持っています。親は子どもに「普通」や「一人前」を要求しますが、全部が「スタンダード仕様の子ども」なんて、そもそもひとりもいやしません。
相対性理論を発見したアインシュタインでさえ、子ども時代は数学と物理以外は、ずいぶん不出来だったようです。さまざまな偉人伝を読んでみると、天才たちの子ども時代は、凸凹な人間の集大成みたいにぶっ飛んでいるのではないでしょうか?
凸凹があるのが子ども。だれひとり同じ遺伝子ではできていませんし、違うからこそ意味があります。
『世界に一つだけの花』のように、みんな固有の価値を持ち、それぞれ輝いているのです。凸凹が多い子どもほど、将来が楽しみですね。
石田 勝紀
教育評論家