株の売買注文方法は、大きく「成行」と「指値」の2つに分けることができます。そのうちの指値は、売買価格を指定する方法であり、約定しない可能性が生じますが、決まった価格で売買できるため利益を最大化することができる、という特徴があります。しかし指値にこだわりすぎることの弊害も。本記事では「指値にこだわりすぎてはいけない理由」を説明していきます。
売買価格の指定が仇となる「指値にこだわる株式投資家」の残念な末路 ※画像はイメージです/PIXTA

「指値注文」に潜むデメリット

株の売買注文方法は、大きく「成行」と「指値」の2つに分けることができます。そのうちの指値は、売買価格を指定する注文方法です。一方の成行は、その時点での最安値で買い、最高値で売る注文方法です。

 

指値とはつまり、「この株を1,000円で売ってくれる人が現れたら、買い注文を執行する」「この株を900円で買ってくれる人が現れたら、売り注文を執行する」と、指定価格での取引に応じてくれる人を待つ注文方法だといえます。したがって、売ってくれる人、もしくは買ってくれる人が現れなければ注文は執行されず、約定することもありません。高すぎる価格では買わない、安すぎる価格では売らない、ということを厳密に守ることができるのです。

 

しかし、取引に応じてくれる人が都合よく現れるとは限りません。そのため、売買が遅くなってしまうこともありますし、いつまで経っても約定しないというケースも出てきます。

 

たとえば、大暴落している銘柄の株を少しでも高く売ろうとして指値注文を出しても、結局は売れずに損失だけが拡大していく、ということもあるのです。

 

とにかく早く約定させることが目的の成行と違い、指値には上記ようなデメリットがあります。

売買が遅れる・約定しない…その結果起こり得ること

では、売買が遅れたり、約定しなかったりすることは、投資成績にどのように響くでしょうか?

 

投資成績とはつまり、「利益率×回転数」だということができます。1年間で30%の利益となる株を1年間保持し続ければ、その年の投資成績はプラス30%です。

 

しかし、買った株が10%値上がりしたら売り(1×1.1で、プラス10%)、その資金で別の株を買い、また10%値上がりしたら売り(1×1.1×1.1で、最初からはプラス21%)、さらにその資金で別の株を買い、また10%値上がりしたら売れば(1×1.1×1.1×1.1で、最初からはプラス33.1%)、年間成績はそれを上回ることができます。10%の利益を出す取引を、1年間で3回繰り返せばよいのです。

 

このように、確定させた利益を全額再投資して複利で運用することでも、投資成績というのは格段に向上します。したがって、売買の回転数を上げることもまた重要なのです。

 

それから、「塩漬け」の問題もあります。買った株が下がってしまい、売らずにいたら下がり続け、売れなくなってしまった状態です。売買が遅れたり約定しなかったりすることは、この「塩漬け」を引き起こす可能性も持っているのです。

 

こういったことから、売買が遅れること、そして約定しないことは、実は大きな損失となりかねません。確かに、売買の価格は重要です。しかし、細かい価格にこだわりすぎるあまりに売買のチャンスを逃し、資金の回転数を減らしたり、塩漬け株を作ってしまったりすると、結局は損となることもあるのです。

 

なお、この例では述べませんでしたが、売買の回転数が上がれば支払う手数料と税金の金額も増えます。それも考慮した利益率が必要だということも注意してください。