株式投資ではしっかりとロスカットをすることが非常に重要です。そのためのシミュレーションとして、妥当な株価を予想し、そこから上下何%ずつ株価が変動するかを計算しておく方法があります。具体的に見ていきましょう。
予想より株価が下がったら即、売り!「ロスカット金額」を決める方法 ※画像はイメージです/PIXTA

まずは「妥当な株価」を予想する

まず、その時点での株価とは別に、「妥当な株価」を予想することからシミュレーションを始めます。

 

たとえば、現時点で1,000円の株があったとしましょう。

 

しかしそれは脇に置いておき、その企業のファンダメンタルズ、政治・経済の動向、材料などから、妥当な株価というのを計算します。これは実は、簡単なことではありません。いろいろな理論や考え方がありますし、現在の資産価値、将来の成長性、市場での優位性、ブランド力など、その企業とその周辺のいろいろな要因を考慮する必要があるからです。

 

しかし、それこそが「投資家の能力」だともいえます。百発百中でなくても、大雑把でも、かまいません。勉強し、経験を重ね、試行錯誤しながら、それを計算できるようになっておくと、その後の投資にも役立つでしょう。ぜひ訓練してみてください。

 

ちなみに、この妥当な株価が現在の株価より高い銘柄ほど、買いのチャンスです。そういった銘柄ほど、その後に株価が下がりにくいからです。次にその理由を見ていきましょう。

次に「株価の上下変動幅」を予想する

では、現在1,000円のその銘柄の妥当な価格が、1,300円だったとします。そうしたら次に、株価の上下変動幅を予想します。

 

株価というのは、市場参加者の様々な思惑によって日々変動しています。ですから、単なる偶然として扱うしかない変動幅というのが、存在します。ここでは、その幅を予想するのです。そして、この予想もまた不確実性の大きいものですが、あえて大きな数字を仮定しておいた方が、その後にあせらなくて済みます。

 

ですからここでは、40%は上下すると仮定しましょう。

 

妥当な株価が1,300円ですから、マイナス40%ですと780円、プラス40%ですと1,820円です。そうするとこの銘柄に関しては、「1,300円が妥当だが、偶然にも今は1,000円に下落している。今後は1,300円に近づき、運が良ければ1,820円まで上がる可能性があるが、逆に運が悪ければ780円まで下がる可能性がある」と捉えることができます。

 

ちなみに前述しましたが、妥当な株価が現在株価より高ければ高いほど、買いのチャンスとなります。たとえば、この銘柄の妥当な株価が1,500円で、同じく40%上下すると仮定した場合、「運が良ければ2,100円まで上がり、運が悪くても900円までしか下がらない」ことになるからです。

 

このあたりは、いわゆる「バリュー投資」の考え方であり、その価値(妥当な株価)と価格(現在株価)のギャップが大きければ大きいほど、それが投資の安全域となる、ということです。

 

ちなみに、現在株価が妥当な株価と同等、またはそれ以上の場合でも、さらに値上がりするという市場の動向を読んであえて買い、値下がり前に売って利益を得る、という高度な取引法もあります。