子どもにイライラしてつい小言をぶつけてしまうことへ、悩みを持つお母さんは多いものです。その原因は様々ですが、ここでは教育評論家の石田勝紀氏が、親が無意識のうちに持っている「目上の意識」について解説します。 ※本記事は、書籍『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』(集英社)より一部を抜粋・再編集したものです。
「親だから偉い」勘違いが生む悲惨…子どもが同じ誤りを繰り返すワケ ※画像はイメージです/PIXTA

「しつけ」のつもりが「おしつけ」になっていませんか?

「それなら、しつけはどうするんですか?」

 

そんな質問が飛んできそうですね。

 

「子どもをまっとうな大人に育てるためにはしつけが必要だし、将来のために高い学力や社会常識を身につけさせたいと願うのは、親としてごく当たり前のことじゃないですか?」

 

たしかに、しつけは家庭でも必要です。

 

ただ、よく見かけるのが、「しつけ」のようでいて、実は「おしつけ」になっているケースです。子どもの将来を考えているのなら、しつけの仕方を見直してみてください。

 

社会のルールや常識的にはやってはいけないこと、自立するために必要な日常習慣などを教えることが「しつけ」だとしたら、それを「感情的に」「怒りながら」言い聞かせようとする行為が「おしつけ」です。

 

イライラしたママから「何度言ったらわかるの! 早くしなさい!」と怒鳴られると、子どもはこわいから(あるいはウザい、面倒だから)いったんはしたがって見せますが、親が求めるルールをきちんと理解したわけではありません。よって、同じ誤りを何度でも繰り返します。

 

そんなわが子を見ると、ますますママのイライラは増幅して収まりがつかなくなります。手のつけようがない、イライラのスパイラル状態に陥っています。

 

私は、こんな「おしつけ」で、子どもの欠点が改善した話を聞いたことがありません。

 

このとき子どもに残るのは、親にまた怒られたという事実と恐怖の記憶だけ。激情をぶつけながら子どもに物事を教え込もうとしたって、しつけたつもりが「おしつけ」となって、社会のルールの習得には結びつかなくなるのです。

 

「しつけ=教える」と「おしつけ=怒る」の違いは、感情の振れ幅にあると思ってください。物事の道理を教えるときに感情が先走っているなら、その段階で、即アウトです。こちらが伝えたいルールや約束事は、子どもにほとんど届いていません。

 

ここでひとつ、ぜひ知っておいていただきたい法則をお伝えします。

 

それは、子どもは「怒れば怒るほどできなくなる。言えば言うほどできなくなる」という「おしつけの法則」です。

 

「勉強しなさい」と言うと、勉強がキライになる。

「塾へ行きなさい」と言うと、塾へ行きたくなくなる。

「片づけなさい」と言うと、片づけをしたくなくなる。

「ちゃんとしなさい」「しっかりしなさい」と言うと、だらしなくなる。

「こんなことはできて当たり前。みんなもやっているのだからやりなさい」と言うと、み

んなができることができなくなる。

 

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言えば言うほど、真逆の結果を呼んでしまうことが現実に起こる場合が少なくありません。特に子どもは、天の邪鬼的な傾向を持っているからです。このように命令するのではなく、わからないことやできないことは、まずは教えてあげましょう。感情を交えずに、やり方を教えてあげることで、子どもは自然とできるようになることがあるからです。

 

子どもの前でイラっとしたときに「あ、私は今、怒ってる」と気づくだけでも、「おしつけ」は減っていきます。子どもに何かを伝えようとするとき、こんな方法で点検してみてください。

 

 

石田 勝紀

教育評論家