投資家が絶対にやってはいけないこと
損切りが遅れるのと同じぐらいやってはいけないことが塩漬けです。
「自分のお金で株を買って売る」という現物株取引の場合、投資している会社が倒産でもしない限りは資金がゼロになることはありません。信用取引やFXのように強制ロスカットにはならず、含み損になります。そして一時的に含み損が出ても、投資資金がゼロになることはないので、決済して損を確定せず「利益が出るまで持っておく」投資家が日本ではとても多いのです。
含み損が大きくなりすぎたので決済できないことを「塩漬け」と言い、このような投資行動をとる投資家を「塩漬け投資家」と言います。このような投資家は安定投資家とは言えません。
その理由は、塩漬け中の銘柄があるせいで、資金を自由に使えないからです。
塩漬け中の銘柄は、塩漬け投資家が見ても、「いま新たに買うなら絶対に買わない」銘柄でしょう。
たとえば塩漬け銘柄を300万円買っていたとしましょう。それが暴落して、今では100万円になりました。200万円の含み損が発生しています。もちろん株価が再上昇して、含み損が減る可能性はあります。
しかし暴落した理由があるわけで、もとの300万円に戻る可能性は極めて低いと言っていいでしょう。
それに賭けるとなると、それこそ「かもしれない」という根拠のないことに賭けているわけで、ギャンブルだとしても割りの合わないギャンブルです。
安定投資家が考えることは、「現時点でよりエッジのある銘柄」を常に保有することです。エッジのある銘柄のほうが「上昇する確率が高い」からです。そうであれば、塩漬け銘柄を持ち続ける理由はありません。優位性がなくなったからです。であれば、それを売って得た100万円でよりエッジのある銘柄を買えばいいわけです。
そのほうが塩漬け銘柄が200万円上がるのに期待するよりも、ずっと上がる確率が高いからです。
つまり塩漬け銘柄の100万円よりエッジのある株の100万円のほうが、これから値上がりする確率が高い。それどころか塩漬け銘柄はさらに値下がりする確率のほうが高いのです。
仮に「私の持っているエッジのある株100万円分を、あなたの持っている塩漬け銘柄100万円分と取り替えてくれませんか」という人が来たら、喜んで交換するのが普通でしょう(もちろんこんな奇特な人がいるとは思えませんし、いても裏があるのではと勘ぐってしまいます)。
塩漬け銘柄を決済して、そのお金でエッジのある銘柄に買い替えるというのは、厳密には手数料がかかりますが、この交換とまったく同じ話なのです。
そう考えたら、塩漬け銘柄を持ち続けるのは本当にばかばかしいことです。塩漬けだけは絶対にしてはいけません。
高橋 慶行
株式会社ファイナンシャルインテリジェンス
投資の学校プレミアム
代表